安間川の事例を聞いて −昨日、書き忘れた大切なこと−

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「NPOによる市民参加の実践例 −静岡県・安間川川づくり構想の実践事例から−」

ダムや道路や空港などを作るときに環境アセスメント
行い、住民の意見を(あくまでも)参考にしながら、
開発が環境に影響がないかどうかg「第二回 科学技術コミュニケーションデザイン・カフェに参加」]

調査するのですが、
実は今、環境アセスメントが全然機能していません。

全く住民の意見がないか、
あっても対立ばかりで、法の趣旨である事業者と
住民等が話し合ってり良いものを作っていくことが

実現されていません。

そこで、私達は環境省の委託を受けて、
環境アセスが有効に機能するための住民側の基盤を
検討
するため、亀岡千里NTなどでワークショップを
重ねてきました。

もともとの仮説は、地域で環境のみならず様々な市民活動が
活発に活動していれば、事業者も配慮せざるを得ない!
(と言うか配慮したほうがお得!)
し、もし活動している
地域が開発の対象になったとき、自分達の活動をベースに
語られ続けている物語りの文脈に新しい開発行為を位置づけた時、
どのような影響(良い/悪い、含めて)が物語りにあるかを
判断することによって、リアルティのある意見を環境アセスの
場に提起できるのではないかと考えたからです。
そのためにはあらかじめ住民の皆さんが将来のビジョン、シナリオ
物語りをつくり、自作自演していねかればなりません。
山口さんも演劇の重要性をお話されていたので、我が意を得たり!
やはりNPO活動はアートでないといけないのだ!

また地方に行くと、よくナンタラ百選とか地域の宝とかあるのだけど
現地に行ってみると全然そんな扱いを受けていないし、ひどい場合は
現地の人に聞いてもその宝物だと言われている場所がどこにあるかわからず、
「ここですよ。」と言うと、「あらぁ、まぁ。知らなかった。」なんて
話もあるわけで(と言うかほとんどこんな状態なんだけど)、これでは
事業者が開発前に調査に行っても環境に配慮なんてするはずがない。

しかし、開発を予定する事業者が現地に行ったとき、
そこで、カヌーによる川くだりとか、地域の人が毎朝毎夕
なんらかの活動をしていれば、配慮せざるを得ないし、
配慮したほうがお得だし、工事中も事業者との触れ合いがあったりして
結果的に監視の目が働いたりと法の趣旨どおりの理念が実現
できるのではないかと考えていたのですが、
今回の安間川の事例を聞いて、我々の仮説が間違っていないことを
確認できました。

あとは行政と専門家ですね。
今の環境の専門家は素人である市民に対して、自分らと同等の
知識を求めたりし、市民に専門的な用語で攻めて彼らの活力を
減退させる方向に作用していますが、本当は市民の包括的な取り組みを
環境の側面で切れば、こんな風に表現できますねぐらいの話で、
環境の側面だけで構成された物語りを環境側面だけで生活していない市民に
押し付けていくのは間違いなんだと思います。
山口さんも行政の縦割りを批判していましたが、
縦割りだからこそ、効率的な面もある訳で、縦割り自体が
悪いのではなく、それを横につなぐ物語りがなく、共有されて
いないからだと思います。
そして、その地域の物語りを作り、演じていくのは市民であり、
行政や専門家はその文脈に自分達の専門分野を(物語りの邪魔を
しないように配慮して)埋め込んでいくこと
だと思います。

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