月刊 綜合医学 綜合医学会発行より

放射能に打ち勝った玄米と味噌汁

最近注目されているのが体験記
「死の同心円—長崎被爆医師の記録」秋月辰一郎著である

これは長崎市の浦上第一病院(現 聖フランシスコ病院)に
勤務していた医師の体験記録である

爆心地の近くに位置し奇跡的に残った病院で
秋月氏は負傷者に水を飲ませず、
血液の濃度が薄められるのを防ぐとともに
救護に当たるスタッフには塩をたっぷりつけた玄米の握り飯と
ワカメの入った味噌汁を毎日食べさせ
甘いもの、特に砂糖をとることを厳禁した

秋月氏は「放射線宿酔」と呼ばれるレントゲンを受けた後に
起こる事がある全身の倦怠などの症状には
経験上、生理食塩水より少し多めの塩分を含んだ水を飲むと良いことを
とっさに思い出し、原爆の放射能から身体をガードするには
塩が有効ではないかと考えたようだ

砂糖を禁じたのは、砂糖は造血細胞に対する毒素であり
塩のナトリウムイオンは造血細胞に活力を与えるという
秋月氏自身の食養医学による判断であった

結果的にそのとき負傷者の救護にあたったスタッフに
原爆症を発症した人は1人もいなかった

おそらく玄米のビタミン・ミネラル・ファイトケミカル(フィチン酸・フェルラ酸など)、
味噌(大豆)のたんぱく質・ビタミン・ミネラル
ワカメのミネラル(ヨウ素・カルシウムなど)の
総合力が放射能障害を防いだのだろう

秋月氏の「長崎原爆体験記」の英訳版は欧米で広く読まれており
チェルノブイリ原発事故の後、ヨーロッパで
日本の味噌が飛ぶように売れた事はあまり知られていない

氏は著書の中で「日本人は米・麦が主食で、副食として何が一番優れているかを
考察すべきである。食生活は種々の食物の総合力である事は明らかだ」と
述べている

古来日本は豊かな自然に恵まれ食材のバリエーションも豊富だった
その中からお米に最も適した副食が選択され
ベストミックスとしての和食が成立してきたのである
食習慣の欧米化が進む中、今一度伝統的な和食を見直し
お米中心の食生活を実践する事が求められているのではないだろうか

<百鬼夜行というすごい名前です>