追憶の満州旅行〜1日目〜

中国南方航空、CZ696便。
週に二回だけ、関空と黒龍江省の省都ハルビンを結ぶ飛行機。

Tおばあちゃんの「YUI-GON」を成就するため、私たちはこの飛行機に乗って、おばあちゃんの記憶の中にある満州路を辿りに行ってきます!

この旅のメンバーは、今年90歳になるTおばあちゃんを筆頭に、娘さん、お孫さんの3人と、通訳兼撮影補助のKさん、撮影担当の長岡さん、撮影補助兼世話役全般の藤田の計6人。さらに、現地では、旅行会社のガイドさんと運転手さんが加わります。

この日はあいにくの曇り空で、飛行機の窓から見える景色は、ただただ白い雲の海が広がるばかり。着陸直前まで、中国大陸を展望することはできませんでした。

中国でも新型インフルエンザの水際対策は厳しく行われていて、小型のレーザーガンのような検温器で搭乗時と到着時に、一人ずつ体温を計られました。37℃以上あると引き止められると聞いていたのでヒヤヒヤしましたが全員無事クリア。

タラップからハルビン国際空港に降り立ち、シャトルバスで空港建物内へ。いくつものゲートを通過。予定より30ほど遅れましたが、無事、玄関口で待つ現地ガイドさんに出会うことができました。

今日出迎えてくださったのは、片言の日本語を話す、金さんという若い青年のガイドさんと、大柄だけど笑顔が何とも愛らしい、松平健にそっくりな運転手の辛さん。

11人乗りのボックスワゴンに乗って、空港からハルビン市街を通過し、高速道路に乗って牡丹江市へ向かいます。

ハルビン市街は、広い道路に車がごった返し、もはや自転車はあまり見られません。
幹線道路沿いも大きな企業や店舗が建ち並んでいました。
巨大なモニュメントを擁する広々とした公園もあります。

あちこちで工事が行われていて、活気が伺える一方、工事現場の後方にチラリと見える路地裏には、時代に取り残された感のある光景も垣間見えました。

ハルビン市街を抜けると、高速道路はガラガラになり、車窓いっぱいに果てしなく広がるコウリャン(トウモロコシ)畑を突っ切るように、やや路面の悪いコンクリート舗装の高速道路を、一路牡丹江市へ、スピードをあげてひた走ります。

そして、空港に着いてから約5時間後の午後9時すぎ、車はようやく牡丹江市内へ。電飾でライトアップされた北山公園のモニュメントの前を通り、満州時代に日本人が造ったという虹雲橋を渡って、60数年前、Tおばあちゃんが満州で初めて降り立った牡丹江駅のすぐそばにそびえる25階建ての牡丹江金鼎ホテルに到着。

ここで、今回の旅行の現地での段取りをすべて手配してくださった、日本語・韓国語・中国語を上手に使いこなす現地ガイドの権香玉さんが待ち受けてくださっていました。

権さんの案内で、ホテルのすぐ隣のおしゃれなバー&レストランへ。
みんな長旅の疲れはなく元気でしたが、遅い時間であまりおなかもすいていなかったので、みんなでおかゆと水餃子をいただきました。中国に着いて初めての食事でしたが、味もおいしいし、雰囲気も清潔で、まずはひと安心。

食後、ホテルに戻り、散会。各々、朝までゆっくり床につきました。