AAF的東北アートツーリズム紀行(7)〜米沢・上杉博物館・置賜文化ホール〜

朝食と朝風呂を満喫した後、名残を惜しみつつ東鳴子をあとにし、齋藤さんの車で仙台へ。

仙台に着き、S氏とはここでお別れとなった。
楽しい旅をありがとうございました。

車は仙台に乗り捨て、齋藤さんと2人で高速バスに乗り、一路、おとなり山形県の米沢市へ向かう。今日は、映画「ほんがら」の挿入曲を作曲してくださった大場陽子さんが関わっておられるコンサートを鑑賞に行くのだ。
 
 

米沢といえば、上杉謙信。

今日のコンサート会場である「置賜文化ホール」は、「上杉博物館」と併設されている。その上杉博物館に常設されている、国宝「洛中洛外図屏風」。この屏風、織田信長が上杉謙信に贈り、以来上杉家の家宝となったものというから、信長が安土城を建てたわが近江八幡ともまんざら無関係ではない。

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「上杉本洛中洛外図屏風」は、天正2年(1574年)に織田信長から上杉謙信へ贈られたと伝えられ、以後米沢藩上杉家に伝来したという由来を持ちます。平成7年に国宝に指定されました。 筆者は桃山時代を代表する画家・狩野永徳(かのうえいとく)です。京の都を一望し、洛中(市中)と洛外(郊外)の四季と、そこに暮らす人々の生活風俗を描き込んだものです。上杉本と呼ばれるこの上杉家伝来の屏風は、数ある洛中洛外図の中でも初期に属するもので、豪華に、そして細やかに描かれています。およそ2500人もの人物が、老若男女、身分、職業を問わず描かれており、さらに動物、植物、名所、祭など多くの要素を合せ持っています。保存状態も良好で、日本美術を代表する作品とされています。
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(米沢市上杉博物館ホームページより引用)
http://www.denkoku-no-mori.yonezawa.yamagata.jp/

その「屏風絵」に描かれたディテールの情景や人物を、5人のアーティストがそれぞれ音楽で表現する、というのが、今日のコンサートの主旨だ。いわば、音楽による「絵解き」の試みである。

さて、会場付近のバス停で下車すると、またしてもどっかで見たようなゆるキャラが目に飛び込んできた。

かねたん。

彦根のひこにゃんにあやかるのはいいけれど、それでいいのか、直江兼続!(笑)

ホールに入ると、立派な能舞台がまず目に飛び込んでくる。

これ、ホバークラフトの原理で浮上&移動可能な最新鋭の舞台らしい。

ここでは、ちょうど子どもたちが子ども狂言の練習をしていた。
有名な長浜の「曳山祭」を彩る「子供歌舞伎」を思い出す。

…そして、いよいよコンサート開演。

サックス、ピアノ、コントラバス、パーカッションの4種類の楽器が、屏風に描かれた京の都の宮廷内やそれを取り囲む民衆の暮らしを、多彩な音色で奏でていく。
特に、大場さんが作曲したパートは、独特の個性的なメロディーと奏法で、屏風の隅々に閉じ込められてたたくさんの小さな物語をひとつひとつ開放していく、とても印象的な演奏だった。

映画「ほんがら」でも、観てくださった方の半分ぐらいから、「音楽がとても良かった!」という感想を聞く。改めて、あのときAAFに初参加して大場さんにめぐりあえたことに感謝した。