障がいを持った方の、避難ワークショップ

「障害を持った方の、避難ワークショップ」

日本災害救援ボランティアネットワークとして、2019年6月15日、西宮市市立勤労会館(西宮市)」会場に開催した、「障害を持った方の、避難ワークショップ」開催について報告する。
身体に障がいを持つ方にとって、率先した避難行動、つまり「生き延びるための避難」は切実であるが、障がいの種類別の避難訓練はあまり実施されておらず、また、そのノウハウも十分でないのが現実である

今回のワークショップは、在宅障害者への介助サービスを提供している、西宮市に事務所を持つ団体「かめのすけ」からの依頼で開催した。参加者は25人。受講されたのは、主に介助サービスを提供するスタッフだが、車いす使用者も含まれている。
冒頭、私がNVNADの一員として参加した、熊本地震被災地の益城町、西日本豪雨災の倉敷市真備町の被災状況をパワーポイントで説明した。
特に、訓練としての災害想定では、一番過酷な状態を想像することが大切。たとえば、冬季極寒の深夜に豪雨の中を避難する場合を想定し、そのための準備が必要であるとおいゃ話しした。開催したワークショップは以下の2種類。

●車いすで障害物を超える
100円均一ショップで購入した、発泡スチロール製のブロックとレンガをランダムに配置し、その上に段ボール板を載せて障害物を作成。人が乗る車いすを介助者が押して越える。 発泡スチロールの上に段ボールを載せるのは、障害物の形状が分かりにくくするため。配置したスチロール製ブロックの高さは、9センチほどだが人の乗った車いすは非常に重く、男性一人の力でもなかなか容易に移動することができない。また、介助者の足元も不安定で、踏ん張ることができない。
受講者のみなさんは、小さな前輪を上げ、後輪だけで超える。また、車いすを押すのではなく、引いてみて段差を越えようと試す場合もあった。障害物の幅は、せいぜい1メートル程だが、実際には長い距離のガレキを超える必要があるかもしれない。「より過酷な状態を想定すること」を前提として設定し、介助者一人での移動を体験していただいたが、実際には複数人が必要になるかもしれない。
●布担架で人を運ぶ
災害が起こった際に布担架を使って、障がいを持った方やけがをした人を運び出す方法を体験していただいた。布担架は、一万円以下で購入することができ、収納の際も小さくたたむことができる特徴を持つ。長さ180センチ、幅60センチ程度の丈夫な布に、8つほどの取っ手をつけたものが一般的。8つ取っ手があれば、最大6人によって運ぶことができる。また、取っ手の数は4つで、二人が両側から持ち運ぶことができる座り型の布担架も体験していただいた。会場は6階だったので、研修室前の階段でも人を載せた布担架での移動を体験していただいた。
しかし、人を運ぶというのは想像以上に重く、また、布担架では形状が安定しないので、運びにくい。いかに、人は運びにくく、少人数で長い距離を運ぶことは大変だとの体験は大切だと思っている。
日本災害救援ボランティアネットワーク 監事 萩野茂樹