行動経済学と老前整理⑯

大阪はまた30度を超える夏日になりそうです。こういう時に油断せず、熱中症にご注意を。

今日は行動経済学のフレーミング効果についてです。
難しい話だと思われた方こそ、読んでいただきたいと思っています。

絵の額縁を「フレーム」といいますが、この額縁が立派だとその絵も価値あるものと思いがちではありませんか。

つまり人がある選択をする時、その絶対的評価ではなく、自分の基準に当てはめて、別の判断をしてしまう可能性がある事をフレーミング効果と呼んでいます。

私も講演では以前から、このフレーミング効果を使ってお話ししていますの紹介します。

●2013年2月に北海道常呂郡佐呂間町の全町婦人会の方々が、私の老前整理の講演時に、女性にアンケートを実施してくださいました。(247名)

質問、引き出物やお祝い返しを受け取ったらどうしますか。

答え、ひとまずとっておく 53%

すぐ使う 26%

リサイクルやバザーに出す 11%

好みでなくても相手の気持ちを考えて使う。 8%

使わないので処分する 2%

皆さんの答えはどれでした?

ここで問題は「ひとまずとっておく」です。このひとまずとっておいたものの多くが押し入れで眠っています。

数年前から全国でこの話をして、会場の皆さんにお尋ねします。

「なぜ取っておくのですか」と訊くと、

「せっかくいただいたのに捨てたり、誰かにあげるのは申し訳ない、気がひける」

「いつか使うかもしれない」や、

「もったいない」などの答えが返ってきます。

これは講演時に私がお見せしているパワーポイントのスライドです。→
(もちろんスライドも自分で作っています。本に書いていることをその話すだけでは意味がありませんので、講演でなければ経験できないという+αがあります)

講演では、ここで押し入れに眠っている、のし紙のついた引き出物や古い贈答品について話します。

次に、もう一度マイクを向けてお尋ねするのです。

「このいただきものが鯛や伊勢海老など生ものだったらどうしますか」

伊勢海老の写真と、この問いに、みなさん当然のように笑いながら「食べます」とおっしゃいます。

「アレルギーとか、持病があってお宅では食べられないものだったら、どうしますか」

「娘や親せき、ご近所などに持って行く」というのがその答えでした。

「どうしてですか」

「せっかくいただいたのに、腐らせたらもったいないから」

腐らないものと生ものでは「もったいない」という答えは同じなのに、それに続く行動が正反対のところがおもしろいですね。

私はそこでいただきものを全部「生もの」だと考えてはどうでしょうと提案します。
すると会場の皆さんはなるほどとうなずかれます。

もの自体は変わらないけれど、これは提示の仕方、つまりフレーミングを替えたのです。

現在押し入れの奥に眠っている品々はもちろんのこと、これからいただきものがあれば、「生ものだったら」と考えて、どう扱うかぜひ考えてみてください。

このように私は講演で行動経済学のフレーミング効果についてお話ししています。

行動経済学やフレーミング効果と言うと難しそうですが、こうしてお話しすると、みなさん興味を持って聞いてくださいます。

ちなみに、伊勢海老の写真は数年前に友人から我が家に届いたものです。
(お刺身にしておいしくいただきました。殻も捨てずに味噌汁のだしにしました。そのうえ、仕事でもこうして役立ってくれている!)
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