28.「手伝わない人ほど、アレコレ言う」ことを知る

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 前略
 他家に嫁いだ娘が久しぶりに実家に帰り、兄嫁に言いました。
「こんなくたびれたパジャマよりもっといい服あるでしょう。お父さんにもっときれいなものを着せてあげてほしいわね」
 兄嫁は内心思っています。くたびれたパジャマかもしれないけれど、清潔だし、新しいごわごわしたものより、洗いざらした生地の方が肌にやさしくてお義父さんもこれがお気に入りなのに。自分の親なんだから余計な口出す暇があったら、1回でもお義父さんの食事の介助をしてくれたらどれほど助かるか。しかし言い出したら止まらないだろうし、言っても無駄だから言いませんよ。

 久しぶりに帰ってきた長男が妹に言いました。
「おふくろに赤ちゃんみたいに食事の時にエプロンさせるなんて、かわいそうだよ」
 母さんは自分で食べようとすると、手が震えて食べこぼしが洋服に落ちるからエプロンをしているのよ。わたしが食べさせれば早くて簡単だけど、それだと母さんのためにならないからゆっくり自分で食べてもらって、そのかわりこぼしても文句を言わないでいいようにエプロンをつけているの、何にもわかっていないくせに、よく言うわよ。

 夫を介護している妻に夫の妹が言います。
「わざわざ入浴サービスなんか頼むより、義姉さんがお風呂に入れてやればいいのに、冷たいわねえ。兄さんだって他人に裸を見られるのはいやなんじゃない」
 病でやせたといっても70キロの男を40キロのわたしが介助してお風呂に入れようとしたら、どうなるかわからないのかねえ、この人は。まるでわたしが夫を粗末に扱っているような言い方をして、介護をしたことのない人間はこれだから困るのよ。

 このような思いを抱えていても、なかなか言い返せるものではありません。言う方は何気ない言葉だったり、軽い気持ちでも、言われた方は自分が非難されているように感じ、傷つきます。そしてこの言葉を忘れません。あれこれ余計なことを言うより、感謝の気持ちを伝える方が、介護をする人間にはありがたいでしょう。そして少しでも手を貸してもらえればもっとうれしいでしょう。

『老いた親とは離れなさい』2014年 朝日新聞出版 より

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