インパクトの強い作家

日 時 平成29年4月13日(木)10時〜11時30分
 「阪神間ゆかりの作家たち」シリーズで、今日は「河野多恵
子」を取り上げられました。
 彼女は大阪の老舗のいとはんであり、本来小説を書こうと
すれば、山崎豊子ののれんにまつわる根性ものか、織田作
之助的な庶民の生活であろうかと思われます。
 しかし彼女はそうではなかったのです。
 彼女は10才の時に店と住居を分離することになって阪神
の香枦園に移り住み、西洋的なモダン文化にふれることになります。
 その頃に書いたものに佳作「みち潮」があります。
 この内容は、主人公は11才の少女で、一家は商家で、郊外に住宅を得て移り住み、この土地(香枦園)の景観が書かれている・・・正に体験的なものですが、その中で母から「今の私達の生活が当たり前だと思わないで、幸福すぎるのよ。」と言われ、少女は後年その言葉を思い出す状況になる・・・というものです。
 また彼女の作品にはかなりインパクトのあるものが多いようです。
 たとえば、新潮同人雑誌賞を受賞した「幼児狩り」は、マゾヒティックな快楽を好む30才代の女性が、幼い男児への異常な愛をモチーフにしています。
 その他、結構異常性のある作品を多く書いている芥川賞受賞作家であり、文化勲章受章文学者である由でした。