古典文学の中のタチバナ

日 時 平成29年5月8日(月)13時30分〜15時
 古典文学作品から、奈良・平安時代の橘がどのような植物と
して人々の生活の中にあったかを考えるセミナーでした。
 「橘は垂仁天皇の命を受けた田道間守が常世国から持ち帰
った非時香菓である」(日本書紀・古事記)とされています。
 また「菓子の長上にして人の好むところなり」(続日本紀)
 「花の中より黄金の玉が見えて・・・」(枕草子)
 「橘は 実さへ花さへその葉さへ 枝に霜ふれど いや常葉
の樹」(万葉集)とあり、葛城王が臣籍降下により橘性を賜った時の歌で、その他万葉集には長短歌併せて71首に橘が詠み込まれているとのことでした。
 すなわち、古くは常緑の葉、かぐわしき花、金色の実、その全てが尊ばれ、特に果実の酸味は人々に愛されていた由です。
 前述のとおり「橘」は「非時香菓(ときじくのかくのみ)」として紹介しましたが、日本書紀・古事記に記述のように第11代垂仁天皇が田道間守(新羅からの渡来人か)に命じて求めさせたものです。
 田道間守は常世国(ユートピア)に行ってその木実を持ち帰りますが、すでに天皇は崩御されており、半分を皇后にあと半分を天皇陵にささげました。
 後文に「ときじくのかくの木実は是今の橘ぞ」があることから明解になります。
 最後に、ヤマトタチバナで作られたクッキーをいただき、お開きとなりました。