歩哨の眼について

日 時 平成29年7月13日(木)14時〜15時30分
 関西ゆかりの文学として、大岡昇平の「歩哨の眼について」
を中心にしたお話しでした。
 大岡昇平は元々フランスとの合弁会社・帝国酸素株式会社
のサラリーマンとして、翻訳の仕事等をについていましたが、
これを海軍が乗っ取ろうとし、川崎重工業に転職いたします。
 しかし転職4カ月で臨時召集となり、フィリピンの戦場に駆り
出され、そこでの体験をベースに書いたのが前述の小説です。
 この小説は終戦で帰国後、フランス語の教師であった小林秀雄に勧められて書いたものです。

したがって大岡昇平は元々サラリーマンだったわけですが、
恩師の小林秀雄によって作家への道を歩むことになった人で
この時すでに40才を超えておりました。
 この小説は題材のとおり歩哨の眼を通しての話しで、たとえ
ば米軍が上陸するのを見つけ、いち早く知らせることが任務で
これは洩光弾によって見分けるのですが、星の動きと勘違いし
て誤報したことなどが書かれています。
 そしてなぜ誤報したのかを分析する心理学的な内容です。