中華思想を反映した城壁

日 時 平成30年11月6日(火)13時30分〜15時
 万里の長城(世界遺産)は春秋戦国時代(紀元前7世紀頃)
の諸国が部分的に構築したものを、秦の始皇帝がつなげて
長城にしたのが始まりですが、そこには伝統的な中華思想が
反映していたという見方のセミナーがありました。
 この万里の長城は世界最長の人工工作物で、最長は2万km
とも言われ、そのうち現存するのは6千kmだそうです。
 始皇帝が長城を造ろうとしたのは、「秦を亡ぼすのは胡なり」
という予言を聞き、北方の防備が大切と思ったからである由にて、因みに「胡」とはモンゴル系の北方異民族のことだったからだそうです。
 長城の増築や修復は次の漢やその後の明の時代にも引き続き行われたのですが、秦も含めいづれも漢民族であることによります。
 これが中華思想の表れであるとの解説でした。
 すなわち中華思想とは、「世界の中心に漢民族国家(中華)が位置し、その周辺は少数の異民族が居る」というものです。
 したがって万里の長城を建築するには、「中華思想」「漢民族」「経済的基盤の充実」の3点セットが必要だったということになります。
 元の時代には、長城に手を入れなかったことからもこれが伺えます。(モンゴルには邪魔なだけ)