24番・最御崎寺(室戸岬)にて。

エミリさんの撮影がいよいよ高知県に突入しました。

私は一昨日・11日に、

一足先に24番・最御崎寺のある室戸岬に行き、

その高台の上にあります24番・最御崎寺の宿坊に

二泊させていただきました。

11日午後2時過ぎに一人で

24番・最御崎寺をお参りしていると、

見知らぬお遍路さん同士の会話が耳に入ってきました。

「今日は東日本大震災から3年経ちました。

僕の知人も死んでしまいました。

せめてもの供養として、お寺の鐘をついて帰って頂けませんか?」

「分かりました、では私たちもついて帰ります」

・・・そうかぁ。。。

お参りした後、お遍路さんは私一人になりました。

2時46分になって、私は最御崎寺の鐘を大きく1回鳴らしました。

何とも言えない心境になりました。。。

生きる喜びと哀しみ・・・一度がどさ〜っと押し寄せて来ました。

ほんと、ちゃんと生きなければなりません。

翌日、12日は室戸岬から35キロ徳島寄りにある、

エミリさんが泊まっていた民宿谷口まで、

エミリさんの荷物を取りにいきました。

室戸岬への道(国道55号線)は、

ドライブするには格別の美しい太平洋の海が見れます。

その行きと帰り、私は10人以上の歩きお遍路さんを見ました。

私はその一人ひとりの姿をじっと見させて頂きました。

私もここは2回、歩いたことがあります。

ここはお遍路さん泣かせの

長いコンクリートの道でありますが、

一方で、太平洋を見ながら、自身の内観をする

遍路道としては最適な場所でもあります。

その歩き遍路さんの中で、若い男性が一人いました。

(歩きお遍路さんの多くは、定年退職された男性です)

彼は、しんどそうで、若干下を向いていました。

何とも言えない神妙な顔つきをしていました。

『何か』を掴もうと必死のような感じがしました。

私も始めてここを歩いた時は、こんな感じだったと思います。

自分とは何か?

自分はこの人生で何を成すべきなのか?

自分に足らないものは何のか・・・?

そんな人生の根本的な内観を、

四国四県を歩くことを通して必死でやっている訳です。

だけど私自身は、愛媛県に入って気づいた訳です。

「幸せはどこかにある・・・今の自分が持っていない・・・

という訳じゃなくって、もう既に持っている。

重要なのは、自分の心の在様であり、またそれが全てである。

そして、人間は何かを得るよりも、何かを捨てることの方が難しい。

不必要なものを捨てることこそが、人生修行の根本なのではないか?」

そんなことに、私は思い至った訳です。

その若い男性の必死の遍路姿を見て、私は「美しい」と感じました。

彼にしてみては、そんな情けない自分の

一体どこか美しいのか!?という感じですが、

どんな人間であれ、一所懸命やっている・・・魂磨きをやっている姿・・・

仏の域に少しでも近づこうというそんな純粋な心や姿勢に

私は「美」というものを感じ、

そこに人生の価値というものを見い出しました。

一所懸命、自分のため・・・同時に誰かのために

一所懸命やっている人の心は美しい。

私も常にそうありたいなと思ってはいるのですが、

なかなかそうは行かないところに、

はがゆさと情けなさを感じるのですが(笑)、

と同時に、そんな葛藤の中に『人生修行』の価値を見い出しています。

そして今日・13日朝。

室戸岬は一点、春の嵐!!

そんな中、今朝は、エミリさんの撮影で、

近くにある「御厨人窟 (みくろど) 」という

空海が悟りを開いたという洞窟に行ってきました。

嵐の中でも撮影は順調に進みました!

そしてこのブログの更新を終えて、

(24番さんの宿坊のネット環境を使用)

今からこの室戸岬を(エミリさんと)離れ、

高知市内までの札所を打ち、そして大阪に帰ります(^0^)。