「人のために祈るということ」

31番竹林寺の山門に到着すると、

そこに60くらいのおばさんと

30くらいの息子さんのお遍路さんがおられました。

その息子さんは所謂精神&知的障がい者で、

その息子さんのために、おかあさんは

一緒にお遍路に出ようと思われたのだと観じました。

山門の側にある梵鐘を

その息子さんに鳴らすように、おかあさんが言い、

息子さんはゆっくり階段を上って、一つつかれました。

その音色は少し遠慮がちで小さい音でしたが、

何とも言えず美しい音色が境内に響き渡り、

人の心のありようがそのまま梵鐘の音色になって、

顕れて来るのだと、教えていただきました。

見た目はそんな感じで、言葉もうまく話せず、

何をどう思っているのは見えづらい部分もあるのですが、

どんな人であっても、心・想いというものはちゃんとあり、

その動きもあって・・・そして

その息子さんの心はとても美しいのだと分かりました。

おかあさんが息子さんを想う気持ち、

息子さんがおかあさんを想う気持ち・・・

言葉のやりとりはあまりなくても、

何だかとても良く伝わって来て感動しました。。。

どんな状況にあっても、どんなことがあっても、

幸せであってほしい・・・と、

そのお二方の後姿に合掌し、次の札所に向かいました。

自分のことだけを祈るよりも、こうして

いろんな人のご多幸を祈る方が、

本当はとても幸せなんだと気づかせて頂きました(=人=)☆

【写真】31番竹林寺