NPOと行政の協働って。Part3〜先進的な自治体事例 その2

2月4日から連載してきた『NPOと行政の協働って。』の第3弾。
続きがかなり遅くなってしまいました・・・。ごめんなさいm(_ _)m

NPOと行政の関係性のあり方について、また市民活動団体の活動促進について、思うことを述べてきましたが、前回は千葉県市川市の「1%条例」について取り上げました。(※2月14日の記事参照)

今回は埼玉県の志木市の「行政パートナーシップ制度」についてご紹介。

これは、自治体の財政難を背景に行財政改革の一環として発案された制度のようですが、一言でいえば「行政の仕事を市民とワークシェアする」制度。

志木市では、20年後の行政組織を想定して長期的なスリム化計画を立てており、職員1人に対して1.5人の市民(行政パートナー)を時給700円で雇用するもの。
このことで、公的な仕事が市民にシェアされて雇用対策にも寄与する上、市役所に市民が入ることで組織の透明化が図られます。
また、公務員を採用せず時給700円の市民雇用で、市の財政削減も実現。
仕事量に対して多すぎると言われた公務員の数も減らすことができるわけです。

そして、この制度の面白いところは、この行政パートナーは市民団体に属していなければならないということ。個人ではダメなのです。
つまりは、市民活動団体が活動の一環として、行政の仕事を請け負うことができる、ということ。これで活動資金を確保することもできますね。
またその分、団体も責任が増してくる。より社会の一員として、自律的に責任ある活動が促進されるわけです。

さらに、もし個人でこの行政パートナーになりたい人には、行政が既存の団体を紹介し、この個人はどこかの団体に入ることができる。つまり、団体からすれば、新たな人材確保も自動的に行われるというもの。

前回から書いていますように、活動団体の促進に不可欠なのは「人」と「お金」。
この制度もこの点をしっかりとおさえています。

ただ、デメリット?として思うのは、行政の「下請け」的になってしまうのではないか、という懸念。
行政の仕事をワークシェアするといっても、公務員より安い賃金で「請け負う」わけですから、団体が意識として行政の下に位置してしまうのではないか心配です。
行政とNPOの協働、それは対等で良い関係を構築することが肝要です。

このように、市川市と志木市の先進的な事例を挙げてNPOとの協働についてご紹介してきましたが、やる気と工夫次第でこのように盛んに市民参画が実現している自治体もあります。
地方分権の時代、社会における私達市民の新たな役割として、市民活動がもっと促進されるよう、その仕組み作りを引き続き模索していかなければなりません。

江見健太郎