認知症専用のデイサービスでのこと

“ゲームその1”の、指遊びが順番に進んで行くうちに数え歌では
「出来ひん(出来ない)の、出来ひんの」
と、泣きそうに言い立てる方がおられます。「パーだけ出来たら上等ですよ」と取りあえず力づけて言います。こういう時こそ、リーダーの指導力が問われます。
ゲームの目的は参加者さん一人ずつに楽しい思いに浸り、指の動きと声を出すことで心が弾むように持って行って、鈍りがちな脳を活性化することが眼目です。ですから皆と揃うようにキレイ第一では無くて、安心して頂いて、満足感に浸って頂くことが肝心です。
私の今日の対策=秘伝(?)は、
「あら、出来てましたよ」と先ず言って、指の動きを見せながら、「1,2,3,4」はややこしいですからね。5はパーですよ。5はシッカリ上等に出来ていますよ! 他の指はややこしいから5だけ。5本の指を、こう、開いてぱ〜、としてくださいね」と言います。健常者ばかりの参加者さんの教室では、このような場面は起きません。認知症にどっぷり入って居られる方ばかりの教室では、このような励まし方が必要になる場合があります。決して否定をしないことが重要です。何か見つけて徹底して褒める事です。ウソは言えません。他の参加者さんが見ておられます。
5でパーが出来た時が肝要です。「パーができました〜!」と言って自分もパーの5本の指をシッカリ指を開いて見せます。声のムードが大切で、“貴方と一緒”と言うムードを100%華やかな声を張り上げて褒めます。「これでいいの?」などと言われて反応されたら上出来です。
他の参加者さんも認知症ばっちりの方ばかりですが、一番ミスが多い人が褒められるのを見られると、大抵の場合は一体感で受け止められて、部屋中が安堵感に満たされます。リーダー冥利に尽きるというか、リーダーも内心、「良かった、これで成功〜」と少しずつ良い意味での自信がつくようになります。
以上は私の体験から編み出した、認知症専用のデイサービス教室での一コマです。
皆さんと笑顔を交わしていると、皆が仲よしさんの雰囲気になられます。間違いを指摘して、特定の人を突き落とすような雰囲気ではリーダー失格です。教室内の皆さんが喜び合う雰囲気になるのを見ていると、自分の喜び、自分の脳活性化を自覚出来るようで、自分の帰りの足取りまで軽くなるのです。
自分の喜びの為に通っているような気がするのは自分の活性化? 自分の喜びのため? それしか答は無いのです。