わさびの効用をぜひ知っていただきたいのです。

写真はある日の私の朝食メニューです。

採れたて野菜のエンドウとなすとキュウリです。ピクルスは前夜に浸けけたものです。

採れたて野菜を食べれて本当に幸せですね。家庭菜園・週末農業で家族の健康を守る時代がやってきています。

「自分の健康は自分で守る」 時代に先駆けてここ丹波へいらっしゃいませんか!

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さて、丹波ふるさとネットはいよいよ待望の畑ワサビの栽培を手掛けていきます。
わさびの圃場を先生とお慕いしている方に、まず見ていただこうと思っています。

これからその拠点でわさびの栽培・加工をして地域活性化事業として商品開発にまい進します。

国内市場はもとより、広く海外にわさびジャポニカとしてジャパンブランドで売り出していきます。

日本が誇れる日本原産のわさびの効用を、ぜひ皆さんに知っていただきたく再度ブログに掲載させていただきます。


★効能多いワサビの辛み

静岡県立大食品栄養科学部教授
(食品衛生学) 木苗 直秀

 沢ワサビ(WasabiaJaponicaMatsum)は、日本原産のアブラナ科の多年草で、「ツーン」と鼻をつく刺激臭のある香辛料として和食に添えられている。

 歴史的には平安時代の本草和名(九一八年)に山葵(わさび)の名が見られるが、最近、飛鳥時代(六六六年)の木簡に委佐俾(わさび)と書かれているのが発見されてり、古くからワサビが親しまれた食材であったと考えられる。

江戸時代になると、刺し身が食べられており、すりおろしたワサビは生臭さを消し、魚のうまさを引き立て、食中毒菌にも有効であるとされ、庶民にも愛用されてきた。

 現在では、ワサビの根と茎を酒かすと一緒にしたわさび漬けのほか、しょうゆ漬け、豆腐、菓子、せんべいなどにも利用されている。

ワサビの根の辛味はすりおろすことにより、配糖体のシニグリンに酵素ミロシナーゼが働いてアリルからし油を生ずることによるもので、そのほか数種のからし油成分が分離されている。

 従来、ワサビの作用としては、(1)食欲増進(2)ビタミンB1の合成促進(3)ビタミンCの安定化(4)抗菌・抗寄生虫−などが知られている。

 近年はワサビについて、さらに新しい機能性の研究が進められ、(1)新興細菌(腸管出血性大腸菌O157、ピロリ菌)に対する抗菌(2)異物代謝の抑制と亢進(こうしん)(3)発がん抑制(4)血栓形成抑制(5)骨粗しょう症抑制−などの生物活性が相次いで報告された。

 われわれは沢ワサビや西洋ワサビの根茎、茎、葉を用いて各種生物活性を比較しており、既に抗酸化性、活性酸素消去作用、変異原性抑制作用、小核誘発(染色体異常)抑制作用、メイラード反応抑制作用などを明らかにしている。

 このように、わが国の伝統的な食材であるワサビが香辛料としてだけでなく、健康の維持・増進に有効な食品として位置づけられるようになってきた。

また、輸入食品が急増する中で、食品衛生の面から考えると、食品を保存するときの抗菌・防黴(ぼうばい)のツールとしてワサビの実用化が進んでおり、応用の面でますます広がりが見られる期待の天然物と言えよう。

 ワサビの変異原性抑制、発がん抑制、血栓形成抑制については、次回から解説しよう。 

(2002年2月3日掲載)

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★ワサビが突然変異抑制

静岡県立大食品栄養科学部
客員共同研究員(有機化学) 古群 三千代

変異原性とは、細胞に突然変異を起こす性質を言う。突然変異の主な原因はDNA複製の誤りであり、自然でもある確率で起こる。

しかしベンツピレンやニトロソアミンなどの化学要因や、紫外線や放射線などの物理要因によりDNA鎖の切断や挿入、付加体の形成によって変異は起こる。

 生体ではDNAの傷の修復を行うが、不完全であると誤った情報が伝達され、遺伝子の変異に伴う疾病、例えばがん細胞が発生する。それ故、がんは遺伝子の病気と言われるのである。

 現在、日本ではがんが死亡原因の一位を占めており、がん制圧は緊急の課題である。がんは多段階を経由して生ずるが、まず細胞の突然変異が起こるとされ、それ故、変異原性と発がんはきわめて関連が深い。

従って変異を阻害することは、発がんを抑制することにつながる。今回は化学物質と放射線に対するワサビの変異原性抑制作用について筆者らの研究を紹介する。

 表は、肉や魚などの加熱調理時に生成する変異・発がん物質の一つであるMeIQxと、水道原水の塩素消毒により生成し強い変異原性とプロモーター活性を併せ持つ難揮発性化合物MXを用いて、ワサビ搾り汁の変異抑制作用をエームステストにより調べた結果である。

MeIQxとMXのいずれに対しても、沢ワサビ根茎と西洋ワサビ根は高い抑制効果を示している。MeIQxの変異抑制を指標として沢ワサビ根茎より三つの光学活性物質(構造式参照)を同定した。

 それらの中で最も含有量の多いn=6について別途化学合成したラセミ体(光学活性体とその鏡像体の1:1混合物)が同じ活性を示すことを確認した。

MeIQxは、代謝されて初めて変異原性を発現する。先の成分はこの代謝活性化酵素を阻害することを明らかにした。しかしMXに対する活性成分および抑制メカニズムについては分かっていない。

 一方、マウスにγ線を照射すると、染色体異常が末しょう血の幼若赤血球に小核として検出される。ところが照射六時間前に沢ワサビ根茎や葉の抽出物を胃内に強制投与すると、小核の出現は有意に減少した。

これらの抽出物はラジカル捕そく作用や抗酸化性を示した。
 この事実からワサビは、γ線照射により体内の水から発生した障害性の高いヒドロキシルラジカル(活性酸素)を消去して染色体への障害を軽減したと考えた。

抗酸化活性成分の同定を行っているが、ワサビは他の抗酸化食品と同様に、過剰な活性酸素の産生を抑え、各種疾病の予防や緩和に寄与する可能性が期待される。 (2002年2月10日掲載)

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★ワサビでがん転移予防

東京都立短大健康栄養学科教授
(食品機能学) 福家 洋子

 米国では、がんによる死亡率が下がり始めたというのに、日本ではいまだに増加している。ゆゆしき問題であり、本当に残念なことだ。

がんの治療とともに幅広いがん予防研究の成果が急がれる。

 近年、がん予防の研究報告は多くなってきたが、転移予防の例はまだ少ない。ワサビのがん転移予防効果の例をお話ししよう。ワサビはツーンとくるあの辛味が特色であり、ペルオキシダーゼのような強い酵素活性をもっているが、研究では、これらの成分以外の部分に注目した。

そしてヒトの胃がん培養細胞であるMKN−28への増殖阻害を指標として活性成分を精製した。

 その成分は6−(メチルスルフィニル)ヘキシル イソチオシアネート(6−MITC)というものだった。6−MITCは、辛味の主成分ではないが、すりおろすことによって増加する成分である。熱に安定であることが大きな特徴だ。

 この成分を化学合成し、多くのヒトの培養がん細胞に作用させたところ(in vitro)、乳がん細胞やメラノーマ(黒色腫)細胞への抑制が極めて高いことが分かった。

次にマウスを使って(in vivo)実験を行った。食品成分によるがんの予防効果を確認するためには、抗がん剤開発系とは異なる実験系の確立が必要であると考えている。

 私たちの研究室はがん転移予防について、富山医科薬科大の済木・小泉両先生と共同研究を進めている。

B16−BL6というメラノーマ細胞を用いる経尾静脈肺転移モデルを使って実験を行った。この実験系は、マウス(C57BL)の尾静脈にがん細胞を接種して二週間後に解剖し、肺の黒色の転移巣数を測定する比較的簡便な評価系だ。

ワサビ6−MITCは、水道水に溶かし自由摂取する経口投与とした。
 結果を図に示したが、この濃度でのマウスの体重減少は、まったく見られなかった。

ここで問題なのは、投与開始時期だ。食生活をイメージしてがん細胞接種よりも二週間早く設定した。

その結果、コントロール(水道水)に比べ、ワサビ6−MITCを経口投与した群では、転移巣の形成が抑制された。

さらに投与開始が早いことが明らかに転移抑制の効果を高めている。つまり、前もって食品成分が体内に存在することが重要であると言える。さらに肺自然転移モデルによる研究を進めている。

 また6−MITCの抗腫瘍(しゅよう)活性メカニズム検討の過程で、肝臓の第二相解毒酵素であるキノンレダクターゼの誘導を促進することや、TNF−α(腫瘍壊死因子)という細胞が分泌するサイトカインの誘導を高めることも分かってきた。

多くの人が望んでいるがんの予防、転移予防を示す研究データの蓄積が重要と思う。

(2002年2月17日掲載)

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★ワサビにも抗血栓作用

お茶の水女子大生活科学部 助教授
(食品機能化学) 森光 康次郎

 最近、「血液サラサラ」という言葉を耳にすることが多い。血液がサラサラしているとなぜ体に良いのか。

 それは、日本人の死亡原因の二位と三位を占める心疾患と脳血管疾患は、動脈硬化が主因で発症し、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞など血小板凝集を伴った血栓症でもあるため、固まりにくいサラサラした血液が良いと考えられているためである。

ただ、測定の仕方によっては水を多量に飲むだけでも血液はサラサラし、水分を失った起床時にはドロドロしているので、実際にはそんなに単純なものではないことを承知しておいてほしい。

 解熱鎮痛剤で知られるアスピリンが、狭心症や脳梗塞などの再発予防薬として厚生労働省に認可されたのは最近のことであり、アスピリンもまた血小板の凝集を抑えて血栓ができるのを抑える働きが明らかにされている。

同じような働きをする食品の例として、ニンニクやタマネギなどのネギ属野菜がすでに知られている

ヒトは老化とともに血栓形成傾向にあるため、日常の食事の中から血小板の凝集を抑制する食品成分を摂取していた方が良いのかもしれない。

 私たちは食用野菜や果実での試験から、アブラナ科野菜であるワサビにも、ニンニクやタマネギに匹敵するヒト血小板凝集阻害活性を認めた。ワサビ根茎をすり下ろしたものの中から、三つの阻害物質を単離し、偶然にも突然変異抑制や発がん抑制の回でも出てきた「ω−メチルスルフィニルアルキルイソチオシアネート(n=5、6、7)」と同定した=図。

 阻害活性はアスピリンよりも強いものであったが、阻害機構はアスピリンとは違い、血小板膜上にある凝集開始に関与するタンパク質(レセプター)へランダムに結合して、その働きを低下させていると推定した。血小板は十日前後で新しいものが新生されてくる。

ワサビのみならず、このイソチオシアネート類(−NCSという部分構造を有する物質の総称)はカラシやキャベツ、ダイコンなどといった他のアブラナ科野菜からも摂取可能なため、バランス良く適量を食べ続けることで、血栓の形成を遅らせる効果は十分期待できるものと信じている。

 そもそもこのイソチオシアネート類がワサビに含まれることを初めて報告したのは、静岡大学の衛藤英男教授と伊奈和夫名誉教授らであり、硫黄原子が酸化されていないイソチオシアネート類はワサビ独特のツーンとした「におい」の本体である。

 日本は欧米に比べ心筋梗塞や静脈血栓症が少ないとされる。遺伝的背景はあるにしても、ワサビ根茎をすり下ろして香辛作用を楽しむという食文化は、同時に抗血栓作用が期待される成分を摂取している可能性にもつながっていたと言えよう。

(2002年2月24日掲載)