乳酸菌の効果的なとり方 食べるタイミングも重要
菌の種類で効果は様々
ヨーグルトや乳酸菌飲料といえば「お腹の調子を良くしてくれる食品」というイメージが強い。
実は、ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌やビフィズス菌は、整腸作用ばかりではなく、内臓脂肪の低減や感染予防など、菌の種類によって効果が多様なことがわかってきた。
そんな「善玉菌」と上手に付き合う方法とは。
我々の腸の中には多種多様な腸内細菌がすみ着いている。
その数は9千兆個ともいわれ、体内の全細胞数の150倍にも及ぶ。
これらの腸内細菌の中には、有毒物質を作り出す菌の活動を抑えて腸内環境を良くしたり、体の免疫機能を高めたりするものなど、様々な機能を持つものがある。
「最近では、肥満型とやせ型の人では腸内細菌の構成が異なるほか、腸内環境は病気や不調とも密接にかかわることがわかってきた」と理化学研究所イノベーション推進センターの辨野義己氏は解説する。
また、東北大学大学院農学研究科の齋藤忠夫教授は「腸内細菌のうち、善玉菌といわれる菌はごく一部。
だからこそ食べ物で善玉菌を補う意味がある」と話す。
誰もが知っている通り、乳酸菌やビフィズス菌には、お腹の調子を整える作用がある。
乳酸菌などが作り出した乳酸が腸を刺激してぜん動運動を促し、さらに腸の中に水分を呼び込み便の硬さを調節するためだ。
内臓脂肪を低減
最近では、整腸作用以外の乳酸菌の効用が注目されている。このうち、乳酸菌による内臓脂肪の低減効果は特に関心が高い。
今年4月に英国の栄養雑誌に発表された研究では、ガセリ菌SP株という乳酸菌を含むヨーグルトを1日200グラム、12週間食べると、含まないヨーグルトを食べた場合に比べて内臓脂肪が約8%減少していた。
ガセリ菌SP株は、皮下脂肪の減少効果や、血中コレステロール低下作用なども報告されている。
これからの季節に気になる食中毒への効果が期待できる菌もある。例えば、ビフィズス菌BB536株。
この菌は酸に強く、生きたまま腸に到達する。この菌が腸内で作り出した殺菌力の強い酢酸などの作用で、腸管出血性大腸菌O(オー)157の感染を抑える。
インフルエンザの発症予防効果が報告されているのは1073R—1乳酸菌(R—1乳酸菌)やビフィズス菌BB536株など。
乳酸菌シロタ株では、ノロウイルス感染性胃腸炎による発熱日数を短くする効果がある。
これらはいずれも、乳酸菌やビフィズス菌が体の中の病原菌を攻撃するNK細胞の働きを活発にさせるためと考えられている。
しかし、とってすぐに効くわけではないため、風邪がはやる1カ月ほど前からとり始め、流行が収まるまで毎日とるのが大切だ。
乳酸菌やビフィズス菌は、免疫細胞のバランスを整えるなどの作用により花粉症などのアレルギー症状の改善効果もある。
さらに、ラブレ乳酸菌では、腰や手足の冷え、肩こりや腰痛、節々の痛みといった女性の更年期症状の改善効果が報告されている。