ロコモ対策に有効な男性ホルモン

ロコモ対策に有効な男性ホルモン

テストステロンは異性に対する関心のみならず、
筋肉や骨の老化も防ぎます。

ロコモティブシンドローム(通称 ロコモ)を知っていますか?

日本語名は「運動器症候群」で、略称を「ロコモ」といいます。
身体を動かすのに必要な器官(腰や膝など)に障害が起こり、
自分で移動する能力が低下して要介護になる危険度が高い状態。

日本整形外科学会は、ロコモ対策をさかんに提唱しています。
寝たきり予防の第一歩は、ロコモ対策からです。

実は、このロコモにもテストステロンが
有効であることが分かってきました。

寝たきり予防には、男女ともテストステロンが鍵を握っています。
老化は自然現象であり、避けられない、避けてはいけないものだ、と
これまで私も思っていました。

年齢とともに枯れることは、決して悪いことではありません。
しかし、生きている限り何歳になっても若々しくありたい、と
願うのが多くの人の気持ちでしょう。

アンチエイジング医学(抗加齢医学)と聞くと
アレルギーを示す人でも、「若さを保つ方法」とか
「健康長寿の秘訣」と聞くと、興味を示します。

そのためには、若いうちからテストステロンを下げない生活を
心がけることが男女とも大切なのです。

具体的方法として、まず夜更かしをしないことです。
よく寝る人はテストステロンが低下しません

ストレスを減らしてリラックスすることも大切。
自力でテストステロンを造り出すためにはリラックス状態が必要です

ストレスがあると脳の中にある視床下部から
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRF)が出ます。

CRFは精巣でのテストステロンの産生を低下させます
夜にメールを見ないことも、余計なCRFを放出しないための方策。

さらに、メタボにならないことも大切で
内臓脂肪とテストステロンがこれまた大いに関係があるのです。
内臓脂肪が増えるとテストステロンが減るという関係にあります。

意外なことですが未婚の男性のほうが既婚より
テストステロンの値が高いことが分かっています。
婚活のために社会性のホルモンであるテストステロンが必要なのか。

しかし未婚状態が続くと、ある時点からテストステロンの値は
既婚男性を下回ってくることも分かっています。
結婚を諦めた時点からテストステロンが低下する

ですから、年齢に関係無くできるだけ結婚を諦めないことが大切。
ロコモ対策から婚活にまで男性ホルモンが深くかかわっています。

長尾和宏 (ながお・かずひろ)
1958年、香川県生まれ。1984年に東京医科大学卒業、大阪大学第二内科入局。阪神大震災をきっかけに、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業、院長をしています。最初は商店街にある10坪程度の小さな診療所でした。現在は、私を含め計7人の医師が365日24時間態勢で外来診療と在宅医療に励んでいます。趣味はゴルフと音楽。著書に「町医者力」「パンドラの箱を開けよう」(いずれも、エピック)「『平穏死』10の条件」(ブックマン社)「胃ろうという選択、しない選択」(セブン&アイ出版)などがあります。ツイッターでもつぶやいています。