肥満にならない便利なフォークを作れるか

肥満にならない便利なフォークを作れるか鈴木 良介=野村総合研究所

スマホと連動し、データを利用して健康的な習慣を身につけるための製品が増えている。体重計、歩数計、血圧計のみならず、とうとうフォークまで登場した。
イベント「BigData Conference 2014 Autumn」開催

日経ビッグデータラボは9月3〜4日に、ビッグデータ活用の実践を目指す方向けのイベント「BigData Conference 2014 Autumn」を開催します。

本記事の筆者である野村総合研究所の鈴木良介氏は9月3日に、「課題とデータを結びつける、データ活用のファシリテーションを学ぶ〜打ち合わせを、具体的にどう進めるべきか?を体験する〜」と題して、3時間にわたり少人数集中講義をされます。

 肥満対策は日本でも大きな課題となっている。厚生労働省によれば、30代の日本人男性に占める肥満者の割合は1981年の18.6%から、2011年には32.9%に増加。

OECD(経済協力開発機構)の推計では、「包括的な戦略を実施すれば、慢性疾患による年間死亡者数を日本では15万5000人減らすことができる」という。

 最近ではデータの活用によって肥満対策や健康維持の「ミクロな目標」を達成しようとするアプローチが盛んになってきた

些少な兆候をつど「しらみつぶし」とすることによって大きな課題を解決するという考え方だ。 

無線LAN環境の充実やスマートフォンの普及を背景に、ネットワークに接続できる体重計や歩数計、血圧計などの新製品が相次いでいる。

これらから自動的にデータを収集し、その人の活動量をわかりやすく可視化する仕組みになっている。

ゆっくりと食べる習慣をつける

香港ハピラボの「HAPIfork」
 さらに先鋭的な取り組みとして、米マサチューセッツ工科大学のサジド・サーディ氏が開発したモーションセンサー付きのフォークがある。

一定以上の早さで食事をするとフォークが光ったり、静かに振動したりして、ゆっくりと食事をするように促す。

サーディ氏はこのような取り組みを「ミクロな判断(マイクロディシジョン)の支援」と呼んでいる。

最近のクルマで言えばリアルタイムの燃費計の考え方と似ているかもしれない。 サーディ氏と同様のコンセプトは香港のハピラボ社からHAPIforkという名前で2013年10月に製品化された(写真)。

 社会全体の課題を個人のモチベーションを向上させるかたちに細分化して、それに働きかけ、結果的に大きな効用を得るという考え方は随所で転用可能だろう。