<甲子園>台湾でも人気 「KANO」ヒット、訪問客急増

<甲子園>台湾でも人気 「KANO」ヒット、訪問客急増
毎日新聞 3月30日(月)13時9分配信

 第87回センバツが開催中の阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)にある甲子園歴史館で、台湾人観光客の数が急増している。これまで年200人程度だったが、2014年度は既に1万人を突破した。

戦前の夏の甲子園に台湾から出場して準優勝したチームを描いた映画がきっかけで、甲子園は台湾からの関西旅行に必須のスポットになりつつある。

 映画「KANO〜1931海の向こうの甲子園〜」は、1931年の第17回夏の甲子園に、日本統治時代の台湾代表として嘉義(かぎ)農林学校(嘉農<かのう>、現嘉義大学)が出場した実話に基づく。

俳優の永瀬正敏さん演じる日本人監督が、台湾の漢族や先住民族、日本人からなるチームをまとめ、躍進する姿が描かれている。14年2月に台湾で公開されると、現地で大ヒットした。今年1月には日本でも公開され、反響を呼んだ。

 すると、映画の舞台を一目見ようと球場を訪ねる台湾人が増え、歴史館の来館者も増え始めた。歴史館によると、14年4月以降に台湾の旅行団体を介したツアーだけで、150団体約4500人に上る。

同6月には、台湾の嘉義市から贈られた当時の嘉義農林のエースの銅像の展示が始まり、17回大会で使われた硬式球や映画撮影で使われたユニホームなども現在は並んでいる。

 台湾政府の出先機関「台北駐大阪経済文化弁事処」(大阪市西区)の交流担当、黄冠超さん(51)は「台湾は元々野球が盛ん。

映画の影響で、若者から年配の方まで甲子園への興味が広がり、今や台湾から関西を訪れる観光客にとって欠かせないスポットになっている」と語る。

 甲子園歴史館の宮脇明さん(31)は「野球を通じた日台の交流の歴史を知るとともに、高校生が白球を追いかける日本の野球文化も楽しんでほしい」と話している。
【畠山哲郎】