牛肉輸出、200億円に=和食ブーム背景、10年で5倍

牛肉輸出、200億円に=和食ブーム背景、10年で5倍

 和食ブームを背景に、日本産牛肉の輸出が拡大している。2017年の輸出額は前年を4割上回る192億円。18年に200億円を超えるのは確実な情勢で、10年前の5倍に膨らむ。一方、海外産の和牛も台頭しており、「日本産和牛」のブランド力を維持する対策が求められている。

 和牛はすき焼きや焼き肉として各国の和食レストランで提供され、知名度が高まった。訪日外国人が日本で味わい、とりこになるケースも多いようだ。品種改良し肥育ノウハウも生かすなど、日本の畜産技術が生んだ高級食材として、日本政府も輸出拡大を後押しする。

 だが、東南アジアではオーストラリア産の「WAGYU」が日本産をしのぐ人気。かつて米国に輸出された生きた和牛を基に豪州で繁殖させたものだ。今年11月には、和牛の受精卵が大阪から中国に持ち出されそうになっていたことが発覚。和牛の遺伝子を狙う動きは少なくない。

 政府・与党は水際対策に力を入れるとともに、和牛の受精卵などを国外に持ち出した場合の罰則を強化する方針。中国や韓国など、依然として禁輸措置を取る国には積極的に解禁するよう働き掛け、19年の輸出額目標(250億円)を達成したい考え。