国宝『源氏物語絵巻』を読み解く〜竹河(一)を中心として〜

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・日時:3月29日(木)午後1時半〜3時半
・会場:すばるホール(富田林市)
・講師:浅尾広良先生(大阪大谷大学教授)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
*国宝『源氏物語絵巻』を読み解く講義は、今回で第11回です。
①蓬生巻、②関谷巻、③柏木(一)、④柏木(二)、⑤柏木(三)、⑥横笛巻、⑦鈴虫(一)、⑧鈴虫(二)、⑨夕霧巻、⑩御法巻、⑪竹河(一)
・講義では、「源氏物語」を読み、『源氏物語絵巻』の現存するものと、復元したものを見比べて鑑賞します。
*源氏物語は、三部構成(54帖)
-第一部:桐壺〜藤裏葉(33帖)
-第二部:若菜上〜幻(8帖)
-第三部:匂宮〜夢浮橋(13帖)…竹河は第三部で、第44帖。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(%エンピツ%)講義の内容
◆第44帖−「竹河」(一)(光源氏はすでにこの世にはなく、運命の子薫は14,5歳)
これは、髭黒の一家の話である
髭黒(ひげくろ)の大臣が亡くなった後、妻の玉鬘(たまかずら)は、三男二女の子を育て上げた。経済的には裕福だったが、娘の結婚問題に悩んでいた。
大君、帝・冷泉院・蔵人少将らに求婚される
長女の大君(おおいきみ)は、その美貌から、帝(みかど)と冷泉院(れいぜいいん)から求婚が寄せられ、とりわけ蔵人の少将(夕霧と雲居雁の息子)は熱心。
薫、玉鬘より源氏の形見として親しまれる
光源氏の晩年の子である薫は14,5歳であったが、玉鬘は、行く末の頼もしいお方と見て、わが家の婿にと望んでいた。
薫、夕刻に玉鬘邸を訪問し、優雅に振舞う
夕方になって、薫は、玉鬘邸を訪ねる。みずみずしく美しい薫の姿に、侍女たちは「大君にはこの方をこそ」など、聞き苦しいことをいう。薫は、御念誦堂においでになって、階段から上がって、戸口の御簾の前に座る。庭の若木の梅に、鶯が鳴き、いかにも色めいた様子に、侍女たちが薫に歌を詠みかける。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
○国宝『源氏物語絵巻』〜竹河(一)〜
右の絵巻は、「竹河(一)」を復元模写したものです。
・場所は、玉鬘邸の御念誦堂。正月の夕暮れ。梅の若木に鶯のさえずる中庭の情景である。妻戸を前方にいっぱい開いた階に座る薫は、冠直衣姿(かんむりのうし)。御簾を透かして薫をうかがう侍女たち。さらに奥に三人の女房(どれが玉鬘か判然としない)。
・中央に主人公の薫を据え、奥に室内、中間に侍女。そして、梅の木と鶯が描かれている。
・奥の三人の赤い服装と梅の赤い花→鉱物ではなく、植物の有機染料を使ってやわらかい赤色を使っている。