講義日誌「歴史」④−日本古代の即位儀礼と大嘗祭

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・日時:10月8日(火)am10時〜12時
・会場:すばるホール(富田林市)
・講師:市 大樹(いち ひろき)先生(大阪大学准教授)
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令和の即位にともなう主な式典
①剣璽等承継に儀(5月1日)
②即位後朝見の儀(5月1日)
③即位礼正殿の儀(10月22日)
④大嘗祭(11月14日、15日)
⑤立皇嗣の礼(2020年4月19日)

◆天皇が天皇になるための儀式: 「即位儀礼」と「大嘗祭」
即位儀礼
・(変遷)…即位礼を挙げる時期は、践祚(せんそ・譲位)後、吉日を選んで行う。特に定めることはないが、践祚の当年、ないしは翌年で行うのを普通とした。(践祚後9年後、20年後を経て挙式した例もある)。
・1947年(昭和22)皇室典範が新定。
第4条 天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。
第24条 皇位の継承があったときは、即位の礼を行なう。
・皇位継承ではまず「剣璽等承継の儀」がおこなわれる。剣璽(けんじ)は三種の神器のうち、天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)と八尺瓊曲玉(やさかにのまがたま)を受け継ぐ。
・即位の礼(即位礼正殿の儀)…天皇が高御座(たかみくら)に昇られて即位を宣明される。
大嘗祭
・天皇が即位した後、初めて行われる新嘗祭(にいなめさい)のことをいう。
・悠紀(ゆき)・主基(すき)の国郡が卜定から始まり、9月抜穂が行なわれ、斎場に運び込まれる。…11月卯日に祭りが開始され、大嘗宮の儀、3日間にわたる宴などを実施。準備段階を含めると4か月以上にも及ぶ。
・大嘗祭に際しては儀礼のための神殿・大嘗宮が建設される(儀礼終了後には解体される)。
・新天皇が初めて天照大御神を迎え、神前供進と共食儀礼をおこなう点に本質。
・大嘗祭は、宗教色の強い儀礼であることから、しばしば議論になる。
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**(参考)大化時代の即位儀礼
①前大王が没すると、群臣がレガリア(王室の宝物)である鏡・剣を新大王に献上して、即位を要請する。
②日時を空けて、壇場を準備し、そこに新大王が昇って即位する。
③壇を築いた場所を王宮として定める。
④拝賀・寿詞など臣下の服従と忠誠を誓う行為をして、群臣の地位を再確認する。

(以下、省略)