講義日誌「歴史」⑤−伊勢大神楽の歴史と魅力

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・日時:10月22日(火)am10時〜12時
・会場:すばるホール(富田林市)
・講師:北川 央先生(大坂城天守閣 館長)
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伊勢大神楽という芸能
伊勢大神楽は、獅子舞と放下(ほうか)芸(曲芸)で構成される神事芸能で、国から重要無形民俗文化財の指定を受けている。
本拠地:伊勢大神楽は三重県桑名市太夫(たゆう)町と同国三重県四日市市東阿倉川の二か所で伝承された。(江戸時代には、伊勢本国の太夫・東阿倉川村2ヵ村以外にも、江戸や三河を拠点として、広汎に活動を展開。)
伊勢大神楽の回壇:伊勢大神楽の各組は、それぞれ固有の檀那場を持っていて、毎年同じ時期に同じ地域を回壇する。各組(社)は、ほぼ1年中、北陸、近畿、中国地方を巡行している。また、1年の回壇を無事終え、故郷に戻った各組の太夫たちは、増田神社の祭り(12月23日、24日)にも演じられる。
伊勢大神楽と村落:村の中を回壇する一行には、お茶やお菓子を用意して一服を勧める。それとは別に村として昼食を接待する。現在では、公民館などに集まって昼食をつくり、ふるまうケース、自治会長をしている家が接待するケース、毎年まわり持ちの当番制といった、伊勢大神楽に対する接待や回壇の順序は、村落内のステータスと深く関わる。

獅子舞と放下芸(曲目に「舞」とつくのが獅子舞、「曲」と就くのが放下芸)
伊勢大神楽の各組は、壇那場各戸でかまど祓(はらい)と屋敷清めの獅子を舞う以外に、特定の神社境内などで「総舞」(そうまい)と呼ばれる芸能を披露する。
・「鈴の舞」、「四方の舞」などの神事舞や吉野舞、神来舞(しぐるま)などの神楽舞のほか、余興として、水の曲、献燈の舞、魁曲(らんぎょく)などの数々の放下(ほうか)(曲芸)を演じる。
・伊勢神楽のお祓い…各地で伊勢大神楽のお祓いをうけなかったために、災難にあったという話は多く伝えられている。無病息災を願って、獅子に頭を噛んでもらう(獅子頭は神として崇められているが、信仰的な意味づけは一様でなく、獅子を「お伊勢さま」そのものとして信仰する土地もある。)
・獅子は、壬申の乱(672年)に由来するという伝書もある。

◇現在でも、伊勢大神楽の各組は、羽曳野市、富田林市、河内長野市、大阪狭山市などを訪れて、神社の境内で総舞を演じている。