コープともしびボランティア振興財団HP掲載記事

(%ハート%) “心”の物語り (%ハート%)

 気軽に立ち寄れ、だれもが疎外感を感じない居場所を目指して

 春長 淳一(コープこうべ職員)

「心家」という憩いの場が、阪急川西能勢口駅前の路地裏にひっそりとある。
昔ながらの民家で、庭先に「心家」と書かれた看板が立てられている。

そこは、だれかと繋がりたい方、心に悩みを持つ方、休憩で少し立ち寄ってみた方など、毎月100名を超す人が様々な理由で立ち寄る。

現在、20名のボランティアスタッフが在籍しており、常時4〜5名が交替で訪問者の対応を行う。

心家は、ボランティアメンバーが「心の問題に関心があったり、社会的な問題に何かの形でアプローチ出来れば困っている人に寄り添えるのではないか」という話し合いから誕生した。
だから、気軽に立ち寄れ、だれもが疎外感を感じない居場所を目指している。
そのために、公民館や会議室ではなく「普通の家」という居場所にこだわった。

私自身、中に入った瞬間のスタッフさんや利用者さん達のアットホームな雰囲気に驚いた。「これは民家でないと出せない温かさだ」と素直に感じた。

取材の中で、もう一つ興味深かったのが、私も今、別のところで関わっている「子ども食堂」についてだ。
子ども食堂とは、子どもが一人でも安心して来ることができる無料または低額の食堂だ。
現在、全国に広まっており、食事を大勢で食べ、賑やかな時間を過ごす。これは、子供達の発育にもいい影響を与えている。

心家さんでも月に一度、同様のイベントを開催しており、毎回5,6名の子供達が参加する。
利用料も100円と子ども達には嬉しい金額だ。
しかし、子ども食堂をオープンした当初は1〜2人の参加しかなく、ゼロという時もあった。
そんな時でもスタッフ間で決めたことは「継続し続けること」である。「ご飯を一人で食べたり、コンビニ弁当で済ませる子ども達にきてほしい」という思いだけで、2年間やってきた。

その間、神戸新聞や川西市の広報紙の取材をうけ、少しずつ地域住民に認知されるようになった。
そして、食材を無料で提供してくれる農家やコープとの繋がりもでき毎回安定して子ども食堂をオープン出来ている。

スタッフの方とのお話の中で印象的であったのが、「これからの心家をどのような居場所にしていくか」についてである。
現在、心家はみんなの居場所として、地域の憩いの場ともなっている。
スタッフ間、利用者間でもどんな立場の人が来ても共感し、認め合うことが大切であると教えて頂いた。

最近では、利用者の中で悩みのある方から困りごとや相談を受けることも増えてきた。
「でも、静かにお話が聞けるスペースがなかなかとれなくて。しっかりお話を伺いたいけれど・・」と取材当日の当番スタッフの関さん。
今後、スタッフ全員でこのことについても話し合いたいとのこと。

関さんのお話を伺いながら、「居場所はたくさんあるけれど、心の問題や精神疾患に対して理解したいという思いのあるスタッフが、どこにでもあるものではない。そんな心家さんの強みをもっと活かせられたら・・」と思った。