サドベリー関係者へのインタビュー・シリーズ、今回は「クラス(授業)」についてです。

Sudbury Schools: #7: Classes on Youtube.

サドベリー・スクールではご存知のように、カリキュラムを組んで大人が子どもに
何かを教えるということがありません。子どもは自分の好きなことだけをしています(それがゲームであれおしゃべりであれ)。

ただ、子ども自身が誰かに何かを教えてほしいとき、スタッフに頼んで授業をしてもらうこともできますし、スタッフがもっている知識・技能を超える場合はスクールの外部の専門家に授業してもらうよう頼むこともあります。

宙(そら)でも、子どもが公式な形でスタッフを予約して時間を取り、スタッフに勉強を教えてもらうこともあります。

しかし、この「クラス(授業)」というテーマのインタビューで面白いのは、答える人が一様に、学びは必ずしも公式の授業を通して得られるものではなくて、むしろ日常の物事や人とのかかわりで得られるものだと述べていることです。

「自然発生的であること」

これがサドベリー・スクールの学びの特徴だと言えるでしょう。

ウィキペディアにはクラス(授業)について次のように述べられています。

「クラスや他の活動の計画はいつも自発的かつ自由な選択によって作られており、クラスを主導することが許可されているのは生徒とスタッフである。生徒は一度もクラスを取らなくてもよい。「クラス」という言葉は多くのサドベリー・モデル・コミュニティの中で使われているが、誤解を招くかもしれない。サドベリー・モデルの提唱者の中には、「興味・関心が共通したので自発的に形成されたグループ」と呼ぶ方がより正しいと考える人もいる。」(「サドベリー・スクール」on ウィキ)

あくまで子ども自身が望んだときに「クラス」は成立します。これは授業の理想的な形態と言えるでしょう。

授業(クラス)というものは、人が自分から授業を受けると選択したときにはじめて、能動的に講師の話を聴くことができるし、吸収することができるのです。

では、インタビュー読んでみてください。

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Anthony(スタッフ、Diablo Valley School)

「クラス(授業)の企画はサドベリー・スクールでは公式な手続きを経て行われることなんだ。紙に“僕は○○という主題(教科)に興味があって、同じような関心をもつ誰かを探している”と書くとする。そうすると何人かの生徒を見つけることができるかもしれない。「わたしは算数を学びたい!」「僕は料理を!」なんてね。主題(教科)は何でもいいんだ。生徒はクラス(授業)の準備に取りかかることができるんだよ。専門知識をもったスタッフを見つけることができるし、あるいは学校の外でその専門知識をもった人を見つけなければならない。ともかく、クラス(授業)の準備を進めることができるんだ」

David(19才、Sudbury Valley School)

「クラス(授業)には子どもはあんまり時間を割くことはないよ。たとえば僕はサドベリー・バレーにいたとき、一日に一回スタッフが教える歴史のクラス(授業)を取っていた。誰もが参加できる他のクラス(授業)もあったよ。僕たちのクラス(授業)でさえそうなんだけど、サドベリーのクラス(授業)は伝統的な授業の形態を取っていないんだ。テストがあったり成績表があるようなね。僕たちのクラス(授業)では一人が講義をして参加者が質問をして、インフォーマルな議論があったりするんだ」

Anthony(スタッフ、Diablo Valley School)

「僕たちの学校ではクラス(授業)というのは大きな位置を占めないんだ。定期的に行われるのは四つか五つかな。通年じゃなくて一定の期間のね。僕たちの学校ではクラス(授業)が行われるようになったのはここ最近のことかな。基本的に子どもたちはインフォーマルな形で学ぶんだ。学校で行われることの多くはインフォーマルなものなんだよね。個人で学ぶにしても、あるいは友達やスタッフと一緒に学ぶにしてもね。来年にはクラス(授業)が一つ増えるかもしれないし、クラス(授業)っていうのはサドベリー・スクールが時を経て展開していくことの一部なんだよね。あるいは別のサドベリー・スクールに行ったりしてつねにクラス(授業)を取ることもできる。こんな仕方で子どもたちは学びにとりかかるんだ。そうやって多くのクラス(授業)が形成されることになる。」

「子どもたちが、いつでもクラス(授業)を始めることができるということを知っておくことが重要なんだ。

 サドベリーの子どもたちの多くはパブリック・スクールやトラディショナル・スクールから来ているんだけど、そこではもちろんつねに授業が行われていた。すると僕たちの学校に来た子どもたちは「授業をうけなくていいんだ!」って興奮するんだ。

「前の学校ではいつも嫌いな授業があったけど、もう受けなくていいんだ。だから授業には行かないぞ!」ってね。そう彼らは

決意するんだ。

 でも少なくとも知っておくべきなのは、たとえまわりにクラス(授業)がなくても、自分が受けたいと思う授業を自分で企画することができるということだ。何かに真剣になったり本当に学びたいと思ったら、それが数学であれ大工であれ、自分でできるということを知っておくことが、学ぶ上での動機付けになるんだよ。サドベリーでは、やりたいことができて、いつでもクラス(授業)を企画することができるということを知っておくことが重要なんだ。サドベリーの素晴らしいところは、一緒に学ぶ人を見つけられるし、手助けしてくれるスタッフを見つけることができる」

「子どもたちは、一人でも何人かと一緒にでも、とにかくクラス(授業)を企画することができる。それがサドベリーの素晴らしい点だよ」

Evelyn(スタッフ、Diablo Valley School)

「今年私の娘がクラス(授業)を始めたんだけど、スタッフに教えてもらえるように準備したり、教会で演奏しているミュージシャンに教えてもらえるように手配したわ。そういうのってパブリック・スクールでは想像できないわよね」

Anthony(スタッフ、Diablo Valley School)

「昼食やミーティングの後や運動場や戸外なんかで、生徒同士やスタッフを交えたりしてある主題(教科)について話し合ったりすることがあるんだけど、そんな会話の中からクラス(授業)が生まれたりすることもあるんだ」

Romey(スタッフ、Fairhaven School)

「今年多くの人がクラス(授業)を受けたけど、わたしも3分の一以上の時間を教えるのに費やしたし、他のスタッフも自分の時間の2割は何かを教えていた。でもそれは、インフォーマルに教えることも教えることと考えたなら、ということ。伝統的な授業では、生徒は何かを学びたいとき、教室に行って着席するわよね。でも私たちの学校では、たとえば私がコンピュータをしていて、子どもに“この字はこう読むのよ”って言ったりして会話をする。それはインフォーマルなクラス(授業)なの」

Gayle(スタッフ、Fairhaven School)

「(上のRomeyの話を受けて)そういったインフォーマルな“教え”の方が公式の授業よりも多いわよね。わたしたちの学校では学校のどこにでも学ぶきっかけになるものがあるの。会話とかを通してね」

Anthony(スタッフ、Diablo Valley School)

「僕は学校にクラス(授業)がたくさんあることには興味ないんだ。子どもたちはクラス(授業)を始めることができるという考えを気に入っているし、子どもとスタッフが興味を持っている限り一週間・一か月・一年・三年・五年と続けることができる。

人は普通授業を受けることを学びととらえているし、授業に行かなければ学んでいないと考えている。でも僕たちの学校では、インフォーマルな学びこそが主役なんだ。インフォーマルな学びも教室で席に座る授業と同じ価値をもっているんだ」

>>子ども「が」まなぶ 「超」学校。
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