《♯5 読み、書き、計算》

サドベリー関係者へのインタビュー・シリーズ。今回は「読み、書き、計算」(on YouTube)です。

子どもをデモクラティックスクールに入れようと考える人が陥る恐怖の一つが、「子どもが字も読めないようになっちゃうんじゃないかしら?」という想いではないでしょうか。

日本のデモクラティックスクール関係者で昨年の夏に出版した『自分を生きる学校』に序文を寄せてくださった本田健さんは、代表のミムジー・サドフスキーさんから「もしお子さんが15歳になっても自分の名前を書けなくても、それでも子供を信頼できますか?」と言われたそうです。

それぐらい、子どもが読み書きや簡単な計算ができるかどうかは、私たちにとって気になる事柄なのです。

結論から言えば、上記の三つの能力に関しては、デモクラティックスクールにお子さんを通わせても全く問題はありません。

問題があるとすれば、彼らはそれをテキストから学ぶわけではないということ。そして、他の子と同じ時期に同じことを覚えるわけではないということです。

宙(そら)には、既存の学校に通うよりもはるかに多くの読書量を誇る子どもたちがいますが、それは宙(そら)が彼らに読書を奨励しているからではもちろんなく、彼らはこの時期に本を読むのが好きだからです。

逆に本に興味がなければ、同年代のほかの子どもよりも、文字を覚えるのは遅いでしょう。

子ども一人ひとりによって学ぶ速さは異なるし、そこにもその子どもの個性が表れているのです。デモクラティックスクールに子どもを通わせることは、そのような子どもの個性を信頼することです。

実際、テキストを与えられなければ読み書きや計算ができないというのは、近代社会に生まれた幻想の一つと言えるでしょう。

私自身の経験を話せば、小学校に上がる前には、問題集などを教えられずともひらがなやかたかなは全部覚えていました。なぜか覚えていたのです。

それは早熟でも何でもなく、同じ年代で、もちろん勉強などしなくとも、漢字を読める子供もいました。

言いたいのは、人が文字を読んだり書いたりする能力は、教科書や問題集などによって培うわけではないということです。

今回のインタビィーからは、そういったこともわかるのではないでしょうか。

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Anthony(スタッフ、Diablo Valley School)

「わたしたちの学校にはとても小さい年齢の子供も通っている。彼らは最初は読み方を知らなくても、習って、そしてどんなものでも読むようになっている。」

「学校の壁にいろいろな印刷物が貼ってあったら、当然のように子どもたちはそれらに興味を示すよね。貼られてある紙の情報からクラスや旅行や料理教室についての情報を他の子が読み取って、自分たちは(読み方を知らないので)何も分からなかったとする。そこで読み方を知らない子どもたちは読み方を知っている年上の子どもたちを見て、“ワァーッ、あの子たちは文字を読むことができるんだ。僕orわたしは読むことができない。だから習いたい!”と思うようになる。そういうモチベーションで彼らは読み方を覚えるようになるんだ」

Kelly(14才、Jerusalem Democratic School)

「私の兄は小学校一年生から学校に行っていないけど、彼は言葉の読み方を知っているし、数学も知っている。そういった学びを経験しないということの方が本当は難しいのよ」

Anthony(スタッフ、Diablo Valley School)

「読み・書き・計算は、コミュニティの一員になるためには必要なことだと思う。子どもたちはそれらを、ある時点で、何らかの方法で学びとるんだ」

Michael(Jerusalem Democratic School,16才)

「他の(デモクラティック)スクールの人から、“読み方を知らずにずっと子どもが大きくなっていくことはない”ということを聞かされるよ」

Q どうやって子どもたちは読み方を覚えるのですか?

Seth(卒業生、Sudbury Valley School)

「どんな子どもでも読み方を覚えている。でもどうやってそれを覚えるのはわたしは知らない。

 本当に知らないんだ。

 でも、とにかく、読み方を知らない子どもを私は知らないよ」

Q 学校の授業を受けていない子が、どうやって読み方を習うの?

Kelly(14才、Jerusalem Democratic School)

「わからないの、本当に(笑)。

5人の生徒がいて、デモクラティックスクールに来たときは読み方を知らなかったのに、今では読めるの。どうやって、いつ読めるようになったのか分からないわ」

Q その子たちはどうやって読むのか自分たちでは分かっているのかな?

Kelly (14才、Jerusalem Democratic School)

「私は知らないわ」

Michael(16才、Jerusalem Democratic School)

「彼らはわかっているのかもね。誰も尋ねないけど」

Cassie(10才、Praine Sage Sudbury School)

「人はすぐに学ばなければならないというものではないと私は思うわ。学校で学ぶ子供もいれば、本を読むことで学ぶ子もいるし…人はいろいろひととは違った方法で学ぶものよ。私はインターネットで学んでいる。そこで読めないものにもトライしていって、私は読み方を学んだの」

Anthony(スタッフ、Diablo Valley School)

「僕は、読み書きや計算を(既存の学校ではなく)周りの環境から学んでいる(デモクラティックスクールの)人たちのことを心配していない。この三つだけでもとても価値があるんだ。この三つによって、人は以前にできなかったことをできるようになるんだ」

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