「認知症予防ゲーム」は「脳活性化リハビリゲーム」と同じです。

テキストに載せているように、20種目のうちの、ウォーミングアップゲーム6種類を「その1」としています。
「その1」のゲームは一人でもできますが、グループで一緒にしますと格段に楽しくできます。

(1) 1から10
(2) 数え歌で1から5
(3) グッパー体操
(4) でんでんむし
(5) お茶つぼ
(6) グーチョキパー

それぞれのルールは、とても簡単です。どのように楽しく進めるかで、高い成果が得られます。それにはゲームリーダーのコツがほしいです。

ルールを間違えないように進めるだけでは、認知症予防ゲームとは言いがたく、単なるレクにしかなりません。

留意事項
単なる遊びではない、認知症の予防・認知症からの引戻しが目的だ、ということを、リーダーだけでなく、予防教室ではスタッフ全員が自覚しながら一緒に笑いあって楽しむ事が重要です。本当に楽しくなければ心の底からは笑えません。

間違える人が出たときが優しさのシャワーのチャンスです。間違えた方への即座のかかわり方です。

教室の中で、自分ひとりが間違えた…という場面を想像してください。<照れくさい><格好わるい><恥ずかしい>などの恥意識・マイナス志向になっては逆効果です。

みんなが同時に間違えたら部屋の雰囲気はどうでしょうか? みんなが同時に笑ってこそ、うちとける事ができます。スタッフが「私も間違えたあ」と言ったらみなが「私も一緒だ〜」と安心して大笑いとなるのです。その教室では閉ざされた孤独感が払拭されます。

そのようにリーダーとスタッフは心をあわせて、特に(3)や(6)のゲームでは全員が同時に失敗するようなゲームの進め方をします。

・みんなが同時に笑うことで、笑いの効用は倍加します。
・指だけ、次は肘も、肩の関節の運動もゲームの中に自然に加わっていきます。
・1から10まで皆で声を揃えて数えるので、数の観念に親しめます。
・大きな声で数を唱えるので、発声機能の刺激になります。
・皆と声を合わせるので聞く神経も働きます。
・ルールを記憶しなければならない、という僅かな緊張感で、楽しみながら自然に記憶を継続させる訓練がはじまっています。

「1から10まで」指を折って数えるだけのゲームは、ルールとも言えないような簡単なゲームですが、以上のように6種類の脳の機能が同時進行で働きはじめるのです。それを楽しい雰囲気で進めることが大事です。楽しい雰囲気はリーダーの褒め方、声のかけ方が重要です。「上手にできましたぁ」「皆さんきれいにそろいましたぁ」と、間髪を入れずに明るい大きな声で褒める、その褒め方で皆さん思わず笑われるのです。一気に教室は楽しい雰囲気に満ちていきます。

 楽しい雰囲気は、リーダーの発声でかもし出されます。これが癒しになり、明るくいきいきしてきて、その積み重ねで予防や引戻しの成果につながるのです。

声のトーン、声の張り方、声の大きさ、弾みを伝える一瞬のタイミング。ゲームのスピードは参加者の年齢層、健康度、人数など全体の条件でおのずと異なるので、その時、その時の条件把握が必要となりますので、一概には書きあらわせません。

 「1から10まで」は単純すぎるような指遊びですが、年長の高齢者の方々に、「ばかばかしい」と思わせないで、如何に予防ゲームに誘いこむか、リーダーの試金石とも言える場面です。褒めるのが照れくさいと思われるかもしれません。リーダーは小さなハードルを乗り越えてください。心配ありません。誰がリードしても明るい楽しいゲームなのですから。

2度目はテンポアップして、参加者のスピード感をめざめさせます。

 「1から10まで」の本領は、次に行う右手の親指を曲げてスタートする10までの数え方で発揮されます。殆どの参加者が間違えるので爆笑が得られやすいです。スタッフが「私も間違えたあ」と自然に言いやすいのです。皆が一緒に間違えるからこそ、恥意識を持たないで大笑いに持っていくことが可能になります。

2〜3回繰り返したら次のゲームに進みます。

ゲームの楽しい進め方とは、教室の空気の作り方ですから、文章ではとても伝えきれません。実習ができたら良いのですが、工夫してください。

6種類のゲームは、どれも同じ心構えで取り組みます。リズム感と運動量が少しずつ増えていきます。