富士山の文化史

平成21年7月18日(土)に、標記講座が夙川の大手前大学に
おいて、同大学の上垣外憲一教授を講師に行われました。
 富士山の原形は、約11000年前の噴火により形成されたそう
ですが、歴史の記録に登場するのは、奈良時代の『万葉集』の
時期からである由。
 当時は、富士山に登ることは、今日の「登山」という概念ではなく、
山岳信仰の対象であり、山が噴火すればそれは神様がお怒りに
なっていると解釈し、「神様に貢ぎ物をし」「お祭りを行い」「地元の
神社の格を昇進させる」等々の対策を講じたそうです。
 また、富士山は物語にもしばしば姿を見せ、あの『竹取物語』においても、帝の求婚を拒否した「かぐや姫」が、その代わりに不死の薬を献上したが、「かぐや姫」のいない世に永らえることを良しとせず、富士山においてこの薬を燃やさせたとあり、これが噴煙の原因とされたとか。
 富士山の噴火は、平安・鎌倉時代等には時々あったようで、現在のように容易に登れなかったようですが、12世紀末頃からはボツボツ登山者が現れ、頂上の様子の記録も残っているとのこと。
 いつの世にも、富士山は日本の『シンボル』だということでしょうか。
<御殿場口から見る富士山 2009.6.30撮影>