現代の寓話・現代の奇譚

川西高等学校・良元校において「夏の文学講座(国語の教科書の文学作品を読む)」が平成21年8月1日(土)にありました。
 講師は、同校教諭の藤本英二氏でした。
 教材は、「現代の寓話」では、黒井千次氏の『子供のいる駅』と川上弘美氏の『神様』で、「現代の奇譚」では、村上春樹氏の『レキシントンの幽霊』が取上げられました。
 ”寓話”とは、広辞苑によれば「教訓または諷刺を含めたたとえ話」とあり、黒川氏の作品は、日常よくある子供の初めての一人旅(ごく近くの)を扱ったものでしたが、後半のキップを失い駅を出られなくなるあたりから想定外の展開となり、現在クローズアップされている”不登校”にも通じる結果へと向かいました。
 川上氏の作品は、人間と熊が川原へ散策に行く物語で、動物を擬人化したもの。
 また”奇譚”とは、「世にも珍しい面白い物語や言い伝え」だそうで、村上氏の作品は、留守番を頼まれて行った友人宅で、幽霊の宴会に遭遇するという物語で、一説には、小泉八雲を出典としているとか。
 科学の世界に住む我々には、なかなか理解出来ない話しでしたが、ブラックな内容にはいろいろと想像が広がるものでもありました。
 年齢を重ねると、つい年金や病気の事等、目の前の現実が壁になって、どうも夢だのロマンだのというものを置忘れがちだと、改めて自覚したしだいでした。