雨・・・(平成21年10月26日)

ありもと@孟子です。。 みなさんこんばんは。。。

雨です。
南海上の台風20号が秋雨前線を刺激して今日は朝からま
とまった雨が降っています。

9:00 孟子不動谷に到着します。

竹杭の先にずぶ濡れのモズが止まっています。
秋の終わりを示す点景です。

犬飼池にはクサシギが来ています。
内陸の狭い谷戸である孟子では、草原性のノビタキや、淡水
性のシギ類は、なかなか見ることができません。
上尾筒から尾羽にかけて目の覚めるような白色のこのシギ
は、ぼぼ毎年孟子に飛来しますが、まだ完全に越冬したこと
はありません。

サワガニの谷に設置して無人カメラに、10月25日(昨日)、
トラツグミが写りました。
綺麗な幼鳥です。
昨年もこの時期から大型ツグミが写りはじめ、トラツグミ、マミ
チャジナイ等が写りましたが、今年もいよいよ大型ツグミの渡
りが始まったのです。

雨に誘われてサワガニがそこここに出ています。
ポンチョを着てセンサスするありもとのあしもとに、あこに1頭
ここに2頭と、オレンジ色のハサミをもたげて横歩きしています。
このサワガニの多さが、ひっそりと通過するアカショウビンの
胃袋を満たしているのですから、孟子の鳥の多様性の基本と
もいえる生き物と言えるのでしょう。

コウヤボウキの花が咲き出しました。
雑木林の林床に咲く、線香花火のような可憐な花です。
2004年11月 6日
2005年10月30日
2006年10月22日
2007年11月 4日
2008年11月 3日
2009年10月26日
過去6年間のこの花の開花日を並べると、10月末〜11月初
に開花するのがわかります。
この花の名前は、弘法大師空海が高野山の山内からヘビの
住みかである竹藪を無くしたことから始まります。
竹薮が無くなり、怖いヘビがいなくなったのは良いものの、箒
を作るタケが無くなり高野山の人々は困りました。
そこで高野山の人々は、雑木林の林床にいっぱいに咲くこの
きく科の花の茎に目をつけ、この茎を集めて卓上用の箒をつ
くる技術を編み出したのです。
今でもコウヤボウキ製の卓上箒は、高野山の民芸品として、
販売されています。

孟子のこの花を見ると、そろそろ「冬支度」のころです。
10月25日から林の中には人知れずトラツグミが潜んでいま
す。
昔は焼き鳥にして食べる人の多かった、今は和歌山県RDB
指定種の、この大型ツグミが来ると、孟子もいよいよ冬鳥を
迎える準備に入ります。

それにしてもしつこく降る雨です。
ザー ザー・・・
孟子の雑木林のクヌギの葉を雨粒が叩きます。

クリリリ キリリリ・・・
林の中からシュレーゲルアオガエルの声が漏れてきます。
「里山のカスタネット奏者」の異名をとるブリキ細工のような
かわいいアオガエルは、少し冷え込みが入るこの時期、雨
や霧が降ると林の中から鳴き声で存在を告げます。
おそらく樹上で越冬するであろうこのカエルは、生殖期を終
え、「休眠の準備」を始めています。

ヤマハッカとツリガネニンジンの紫が眩しく野辺の畦を彩っ
ています。
そぼ降る雨にぬれているのがまた、その色艶を増している
理由でもあるようです。
ヤマハッカはありもとの大好き花の一つですが、何度撮影
しても、なかなか気にいったカットを写すことができません。
「孟子花ごよみ」に掲載しているカットもありもと的にはあま
り気に行った出来ではないのです。
ツリガネニンジンもそうですが、花を写すのは鳥や動物を写
すよりも、ずっと難しく思います。

雨がやみ間なく降りしきります。
ポンチョもビショビショになり、鳥影も少ないので、そろそろテ
ラスに戻ります。
アオバトの夫婦が高空を飛んでいます。
それよりかなり低い空間を、たくさんのキジバトが飛びかって
います。
どういうわけなのかわかりませんが、キジバトは雨の日が好
きです。
この習性には悲しい昔語りがあります。

その昔、あまのじゃくの男の子と、病弱なお母さんが住んで
いました。
お母さんは病弱なうえに、はやり病にかかり、寝込んでいま
した。
それでも息子は悪びれるそぶりもなく、生来の「あまのじゃく」
を発揮していました。
お母さんが「川に行って魚を捕っておいで」といえば、山に行
ってクリを拾い、「山に芝を集めに行っておいで」といえば、
川に行く・・・
というあまのじゃくぶりでした。

ある日、病の床で、もう自分の命は長くないと悟った母親は、
「自分は死んだら、山の中に葬ってもらいたい。でもあの子
はあまのじゃくだから、たぶん私が山に葬ってほしいといえ
ば、河原に墓を作るに違いない」と思い、「わたしが死んだら
河原に葬っておくれ」と言い残して、なくなりました。

流石のいたずらっ子も、母親の死はこたえたらしく、オイオイ
と泣き、今までのあまのじゃくを改めて、母親を遺言の通り
河原に葬ったのでした。

いたずらっ子が母親を葬った川は小さな谷川で、雨がふると
すぐに増水してお墓が水で浸かります。
ですから息子は、雨が降ると泣いて河原にかけて行き、母親
の御墓を抱きしめていました。

そんな息子も最後はキジバトに化身してしまいました。
それからキジバトは、雨が降ると「てて親恋し(テテポーポ)」
と鳴きながら、飛びまわるようになったのだそうです。

なんとも物悲しい物語ですが、昔の人々は、身近な動物を双
眼鏡も望遠鏡もなしで、つぶさに観察していたことを示す昔語
りでもあります。

はたして今日の孟子も、ショボショボと降る雨の中、キジバト
だけは元気よく、飛びまわっていました。

雨のち曇りの天気予報に少々期待して、昼食後まで雨の孟子
で粘りましたが、昼食のコンビニ弁当を食べ終えても、なおさら
強い雨が孟子の地面を叩き始めたので、ありもとも仕方なく、
諦めて帰路につきます。

ひさびさのまとまった雨の孟子・・・
来週にはジョウビタキとルリビタキが入っているかもしれません。
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<鳥類>
カイツブリ、アオサギ、キジバト、アオバト、クサシギ、コゲラ
キセキレイ、セグロセキレイ、ビンズイ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス
エナガ、シジュウカラ、ヤマガラ、メジロ、ホオジロ、カワラヒワ
スズメ、ハシボソガラス、ハシブトガラス
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<両生類>
ニホンアマガエル、シュレーゲルアオガエル
ニホンアカガエル、トノサマガエル、ツチガエル
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<昆虫類>
アキアカネ
ササキリ、クサヒバリ、カネタタキ、マダラスズ、オンブバッタ
トゲヒシバッタ、コバネイナゴ
ツマグロオオヨコバイ
ベッコウシリアゲ
モンシロチョウ、キチョウ、ヤマトシジミ、ヒメウラナミジャノメ
ヒメジャノメ、クロコノマチョウ
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<花>
ススキ、チカラシバ、キンエノコロ、アキノエノコロ、エノコログサ
チヂミザサ、アブラススキ、カヤツリグサ、ツユムサ、イボクサ
ヤブマオ、イヌタデ、ボントクタデ、ミゾソバ、キツネノボタン
イヌガラシ、ヤマザクラ、キンミズヒキ、ワレモコウ、ミズヒキ
チャノキ、ヒメノダケ、モチツツジ、イヌホオズキ、イヌコウジュ
ヤマハッカ、ヒメジソ、アゼトウガラシ、トキワハゼ、キツネノマ
ゴ、オオバコ、ツリガネニンジン、ヒヨドリバナ、サワヒヨドリ
セイヨウタンポポ、タカサブロウ、アメリカタカサブロウ、ノコン
ギク、ヨメナ、シラヤマギク、イナカギク、セイタカアワダチソウ
アキノノゲシ、ノアザミ、ヨシノアザミ、アメリカセンダングサ
コウヤボウキ、コメナモミ
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