「素粒子と放射線」・「放射線の医学応用—先進医療・素粒子線がん治療について」

伊丹市公民館事業推進委員会企画市民講座が平成21年11月10日(火)に兵庫県立伊丹北高等学校でありました。講師は独立行政法人放射線医学総合研究所、基礎技術センター研究基礎技術部放射線計測技術開発室長—内堀幸夫先生,おなじ研究所理事で千葉大学教授大学院医学研究院—辻井博彦先生でした。
素粒子とは物質の構造を分子・原子・原子核と分けて階層的に見たとき、原子核の次にくる粒子でそれ以上分けられない小さな粒子のこと。現在、物質を構成する素粒子を分類するとハドロン(強い相互作用をする粒子—クォークから成る)とレプトン(弱い相互作用にしか感じない粒子)になる。クォークとレプトンはこれ以上細かく分けられない単位でそれぞれ三世代のペアがあることの理論(CP対称性の破れの起源の発見)を益川—小林博士が発見され、南部博士も自発的対称性の破れの発見で共にノーベル物理学賞を受賞されました。自然界は四つの力(①強い力②電磁気力③弱い力④重力)のみに支配されている。放射線とは直接または間接に、荷電粒子のクーロン力を介して、物質(原子や分子)を電離(正電荷をもつイオンと負電荷をもつ電子とに分かれる現象)する能力をもつ、電磁波または粒子線。放射線には荷電粒子、中性粒子、電磁波があり、医学利用(X線、PET、IMRT、HIMAC)がされている。重粒子線とは炭素、ネオン等の荷電粒子を光速近くまで加速したものです。からだのある特定の深さで線量のピークを腫瘍に合わせることにより放射線治療が可能である。これを先進医療・重粒子線がん治療として頭頸部、肺、肝、前立腺、直腸、大腸、食道、膵臓、子宮等のがんや脳腫瘍、骨・軟部肉腫に適用した説明が在りました。素粒子学問が進み医療の発展が急速に進んでいることを学ぶことが出来ました。