変貌する草原の国・モンゴル

日 時 平成21年11月13日(金)
場 所 TOYRO倶楽部(池田)
講 師 小長谷有紀氏(国立民族学博物館教授)
 チンギスハーンの時代から遊牧民族としてその名をほしいま
まにしていたモンゴル国で、今その環境が一変しつつあるとい
うお話しです。
 元々モンゴルは降水雨量が少なく(かつ変動が激しい)、平均
気温も氷点下であって農業には適さない国でしたが、1平方キロ
メートルあたり1.61人という人口密度に表されているとおり、1人当りの面積が膨大で、何しろ30kmほど移動しないとお隣さんに行き着けないほどで、したがってオアシスもなければ(小規模な農耕はあった)市場もない(隊商貿易はあった)国で、専ら遊牧をして暮らしを立てていました。
 しかし、20世紀に入ると近代化が進み(社会主義的集団化、畜産物の開発、固定施設の建設)、これにより草原の開発(鉱産資源開発、農業開発、ツーリストキャンプ開発)が行われて、かつ土地法が制定(所有権、占有権、利用権)され、遊牧民達は首都や道路周辺に移り住むようになってきたとのこと。
 その結果として自然は荒廃し、今や純粋な遊牧民は人口の14%にまで落ちてしまった由。
 歴史を元に戻すことは出来ませんが、再び草原を豊かにする法改正等、施策が望まれるところではないでしょうか。