爪痕(平成21年11月16日)

ありもと@孟子です。。 みなさんこんばんは。。。

平成21年11月10日未明、和歌山北部を襲った時
間雨量120mmという観測史上稀有の集中豪雨は、
孟子不動谷に大きな爪痕を残しました。
その後11月13日未明にも短時間とはいえ10日と
ほぼ同規模の豪雨が襲い、孟子不動谷はダブルパ
ンチの集中豪雨に見舞われたことになります。

ありもとにとって悲しい出来事は、ハチクマの谷と、
サワガニの谷に仕掛けてあった無人カメラが、どち
らの谷にも起きた土石流により、跡形もなく流し去
られたことです。
さまざまな興味深い生き物たちを写しとめてくれた
心強い「相棒」が、2機とも一瞬にして消失してしま
いました。

理事長はじめ数人の人の証言を聞くだけで、わんぱ
く公園業務のため自分の目で確かめることができな
かいでいたありもとは今日、7:30
孟子不動谷を訪れました。

犬飼池地畔の林にルリビタキの♂が来ていました。
その奥に♀が入り、例年通りのテリトリ状況です。
わんぱく公園では11月15日にルリビタキ初見なの
で、孟子も大差ないことが考えられます。
とにかく今日は警戒心が強く、♂♀の羽衣をなんとか
確認できただけでした。

10羽あまりのマガモがありもとの気配に驚いて飛び
立った犬飼池の北西畔が崩壊し、アカマツの樹が1
本、池の中に倒れ込んでいます。
池に流れ込む小谷にあふれかえるほどの水が流れ
たようで、池は満々と泥水に満たされていました。

久々にキジを見かけます。
赤く色づいたハゼノキの果実をメジロの群れが食ん
でいます。
水路道で採餌していたトラツグミがあわてて飛び立ち
ます。
トラツグミを追い散らしてしまったありもとは、そのまま
水路道を歩きます。

孟子不動の山塊にある、小さな沢という沢が水であ
ふれた証拠として、溝が深く削り取られ、水路に砂泥
が流れ込んでいます。

足元を流れる荒糸川は、豪雨から数日経過している
というのに、ゴーゴーと音をたてて流れています。
孟子参道沿いのクランク状にまがった地点にできて
いた溜まりの中の泥が、綺麗に洗い流されて、底の
岩盤が裸出しています。
せっかく開花していたミズオオバコも、たくさんのドジ
ョウも、泥流と一緒に貴志川に流出したことでしょう。

東西に走る孟子の谷を形成する、南北にある山塊に
入る、小さな沢目が1本残らず水であふれ、あふれた
水が泥や砂を孕んで土石流となり、主谷に流れ出た
のですから、主谷を襲った水流の酷さは、いかばかり
であったことでしょう。
とんぼ池の池畔に生えた草がみな、同一方向に倒れ
込んでいることで、豪雨直後の谷の惨状を推し量るこ
とができます。

山案山子も床下浸水で、床下に格納していたベニヤ板
が流出して、丸嶋水田のそばの荒糸川まで流れて行き、
川をせき止めて砂泥を溜めこんでいます。
もう数10cmで床上浸水になるところでしたが、何とかそ
の「悲劇」はまぬかれたようです。

きみひろ池の周辺に、ビンズイの群れが入っています。
ズィーと鳴きながら飛びたち、ネムノキの横枝にとまりま
す。
脇腹にオレンジ褐色味のある、渡り時期によく確認され
るタイプの個体です。
おそらく顔の黄色いハクセキレイ同様、若い個体なので
しょう。
昨年はここで越冬しましたが、今年はどうでしょうか?

天堤池も泥水で満たされています。
池面上空を、老熟したナニワトンボが飛んでいます。

おそるおそるサワガニの谷に入ります。

大きなコナラの樹が、なぎ倒されています。

沢目の形が、完全に変貌しています。

ところどころに谷の上部から流出したであろう砂泥が
山のように溜まり、沢目の流れをふさいでいます。

今日、新しい無人カメラを注文しましたが、今度はどこに
しかけようか?と思案してしまいます。

こんな状況の孟子不動谷を見るのは、ありもとは初めて
です。
和歌山北部観測史上最高の雨量であったことが、うなず
けます。

孟子無農薬米はすでに刈り取っていたので「無傷」でした
が、ソバは未刈取の部分は「全滅」状態です。
「はざかけ」しているもののみ「セーフ」という状態です。

秋の終わりの孟子不動谷には、大きな爪痕を残して去った
集中豪雨の後、犬飼池の青いルリビタキが運んできた冷
気と共に、「冬」が訪れるのです。
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<鳥類>
カイツブリ、マガモ、ノスリ、キジ、キジバト、コゲラ、アオゲ
ラ、キセキレイ、セグロセキレイ、ビンズイ、ヒヨドリ、モズ
ルリビタキ、シロハラ、ツグミ、トラツグミ、ウグイス、エナガ
ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、カシラダカ、ア
オジ、カワラヒワ、ベニマシコ、イカル、シメ、スズメ、ハシボ
ソガラス、ハシブトガラス
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