日 時:平成21年12月5日(土)
場 所:神戸女学院
講 師:吉田純子氏(神戸女学院大学教授)
氏は、希望と絶望とはコインの裏表のようなものである
と説明され、ある文学作品を例に話しを進められました。
取上げられた文学作品は、米国の児童文学作家である
キャサリン・パターソンの『テラビシアにかける橋』で、主人
公の絶望がいかにして克服され、希望に繫がっていくかを
紹介しているものでした。
あらすじですが、少年・ジェシーは貧農の家庭に生まれ、姉妹の中の唯一の男子として生活していますが、学校でも家庭においても自分の居場所がありません。
そのジェシーの近くに、レスリーという男まさりのちょっと変わった少女が転宅してきて仲良しになります。
二人は、ロープを使って川向こうに遊びに行きますが、そこは二人だけの魔法の国・テラビシアで、ちょうどイギリス文学のナルニナ国のようなところでした。
しかし、レスリーが雨の日に増水した川を一人で渡ろうとして手を滑らせ、川に呑みこまれて死んでしまいます。
友を失ったジェシーは絶望しますが、やがてレスリーの落ちた川に橋を架ける作業にとりかかります。
これはレスリーが居なくても自分自身を切り開こうとする強い心が宿ったことで、やがて完成した橋を妹と渡って、魔法の国・テラビシアへ行くというものです。
作者は子供達に、絶望にぶちあたってもそれを乗り越えようとする勇気が湧いてくると教えたかったのではないでしょうか。