2度目の行軍(平成21年12月7日)

ありもと@孟子です。。 みなさんこんばんは。。。

二十四節季「大雪」です。
今日青森県では朝から冬将軍に見舞われて雪のようです。
8:00
孟子不動谷に到着しましたが、冷え込みが身に応えます。

昨年から500mmカメラのネジがバカになりはじめ、今年
にはいり1個のネジしか利かない状態でだましだまし撮影
を続けてきましたが、本日とうとう最後のネジもバカになり
ました。

めでたく壊れたということです。
もうカメラ屋さんにも見放された状態なので、最後の手段
として金属製の瞬間接着剤でくっつけるという「荒技」をし
ないといけなくなってしまいました。

・・・といってもその「オペ」は帰宅してからということで、
痛々しく2つに分かれたレンズとボディを抱えて、水路道
を歩きます。

コナラの紅葉がきれいです。
タカオカエデはもう「終盤」ですが、コナラの紅葉は今が
盛りです。
孟子不動谷が「燃えている」ように見えます。

ヤブツバキの花が咲いています。
昨シーズンは年内の開花せず、ヤキモキしましたが、今年
はなんとか年内開花を見ることができました。

シロハラの個体数がどんどん増えて行きます。
水路道を歩くありもとを警戒して、「ピシピシッ」と鳴いて、藪
の中に飛び込みます。

グッ ググッ
至近距離でルリビタキの声がします。
コナラ林の中の、木漏れ日の洩れる枝に、♀の成鳥が1羽
止っています。
ぶっ壊れた500mmレンズを、ボディに無理やりくっつけて、
ピントを合わせ、シャッターを切ります。
こんな状態でも奇跡的にピントが来ました。
望遠レンズのような黒くて円らな瞳が、ウルウルとこちらを
見つめています。

ルリビタキの♀が雑木林の中に飛び込んだ刹那・・・
参道の方から嶋田さんの声がします。
「お〜い! 坂本さん!! この荷物、バイクに乗せてくれ
へんかぁ〜!!」

どうやら傍らを軽トラで通過した北原理事長に気付いてもら
えなかったらしく、重たい弁当を持って途方に暮れていたら
坂本さんがバイクで通りかかったようです。

「おう!!かめへんでぇ〜!!」
坂本さんの元気な声が、あしもとの参道から上がって来ました。

先週まで個体数がまばらだったルリビタキも、今週はほぼそろ
った感じです。
水路道を歩くと、いつものテリトリに、いつもの個体が入ってい
るようで、テリトリの境界線では「ヒュルヒュルリュルリ〜」と囀り
合戦をしています。

メジロの群れがヒサカキの果実に鈴なりになっています。
ヒサカキの黒紫の果実は、メジロやウグイスの大好物です。
人間の目にはあまり目立たない果実ですが、紫外線を感じる
ことのできる小鳥の目には、輝いて見えるのだそうで、それが
この亜高木の「戦略」のようです。
子どものころ、罠を仕掛けて捕らえたメジロ、ウグイス、シロハ
ラなどを鳥籠にはなすと、紫色のペンキのような糞をよくされま
したが、それがヒサカキの糞というわけです。

山案山子に到着すると「行群」のメンバーがほぼそろっています。

今日も紀の国森づくり基金事業の里山観察歩道作りの作業です。

北原理事長、丸嶋さん、住野さん
榎さん、嶋田さん、坂本さん
そして今日は山本君も参加してくれています。

今日は先週草刈をした道の傾斜の強い部分に階段をつけながら
山道を登ります。

シロハラ、アオジ、クロジたちが、おっちゃんたちの「行群」に驚い
て飛びたち、藪の中に逃げ込みます。

丸嶋さん、住野さんが三俣鍬をもち、嶋田さんがかけやをもって
います。
坂本さんは草刈機、そしてありもとは草刈がまを持っています。
若い山本君は杭を担いでいます。

ありもとは草刈がまでシダの群落を刈り取っていきます。
ベニシダ、イワヘゴ、フモトシダ、ハカタシダ、イワガネゼンマイ
オオバノイノモトソウ、イノデ・・・
湿気の多い谷間の林床なので、さまざまなシダが混交していま
す。
この澤には、比較的珍しいウラボシノコギリシダがある筈なの
ですが、見つかりません。

シダを手当たりしだいに刈り取ったあと、残った篠竹を坂本さん
が刈り取ります。

そのあと、丸嶋さん、住野さん、嶋田さんで、階段を作っていき
ます。
山本君が担いだ杭を使いきると、住野さんはチェンソーを使っ
てかん木や倒れたスギを伐り、次々に杭を作っていきます。

シダ刈りを終えたありもとも、階段つくりに「参戦」します。
まず丸嶋さんたちが山道を整地します。
そして杭をたて、それを嶋田さんが、カケヤで地面にたたき込
みます。

ありもとは杭を山本君から受け取って嶋田さんに渡したり、
住野さんの杭作りのお手伝いをしたり・・・
あっちこっちに走りまわります。
軽くなった体が、本当にうれしいです。
「リバウンド」を防止するためにも、この作業はありもとにとって
は、とてもありがたい作業です。

キャタピラを押しながら北原さんたちが追い付いてきます。
「山頂を刈り取るから、坂本さんついてきてくれ!」
・・・ということで、キャタピラと一緒に、坂本さんがいなくなります。

替わりに榎さんが加わり、「階段作り」の再開です。

アカゲラの声がします。
ゴニョゴニョしながら作業する我々のまわりに、ルリビタキがつい
てきます。
山仕事をする人が土をひっくり返し、中からヨトウムシでも転がり
出てくるのを狙って、山の小鳥たちが山仕事をする人のまわりに
群がるのはよく知られた習性で、「オートライシズム」と呼ばれて
います。
朝に水路道で出会ったのと同じ、メスの成鳥です。
今日は♂にはとうとう出会うことができませんでした。

朝指がかじかんで動かなくなるほど寒かったのに、どんどん汗ば
み、ジャンパーを脱ぎ棄て、セーター一丁になります。

久しぶりに無心で山仕事をします。
なのに耳だけは周りの鳥の声を拾っています。
ウグイスの笹鳴き、クロジの「ツッ」という金属声・・・
額の汗を流して作業をしつつも、周辺の小鳥の声が耳に入ってき
ます。
これが7年間アセスの仕事をしてきた「職業病」なのでしょうか??

ウゥ〜・・・
下界からお昼のサイレンが聞こえてきます。

みんなで大旗尾根筋で昼食です。
朝集合した面々に、遅れてきた清水さん。
実恵子さんや雅子さんたちも集まってきています。
賑やかな昼食です。

コンビニ弁当で簡単に昼食を済ませたありもとは一人、賑やかな
面々を残して馬路峠への里道を歩きます。
コマユミの紅葉が目に入ります。
にしきぎ科の樹木の紅葉は、幻想的な色合いで、ありもとはとて
も好きな色です。

胸高直径50cm級のコナラが林立しています。
文字通り「雑木林」のおもむきです。

そこここにイノシシの足跡や掘り跡があります。
林床を覆う、オオイタチシダには、イノシシの胴体からついた泥が
ベットリとついています。

夜にはこの里道はたくさんのイノシシたちの往来なのでしょう。

そんなことに思いを馳せていると・・・カラの混群に囲まれてしま
いました。

エナガ、ヤマガラ、シジュウカラ
メジロ、コゲラ、ルリビタキ・・・・

さまざまな雑木林の小鳥たちが一緒に群れを作っています。
冬の雑木林の小鳥のたたずまいです。

本当に手の届きそうな距離に、綿屑のようなエナガがやってきます。
本当にカワイイ小鳥です。
「おちょぼ口」でコナラの樹の間から小さな昆虫をつまみだしては
おいしそうに飲みこんでいます。

ジュリ ジュリ・・・
独特の声で鳴きかわしながら、大きな群れがひとつの生き物のよう
に・・・・
赤や黄色に変わった、落葉広葉樹林の間を、小人のように過ぎて
行きます。

ありもとにとってこのひとときが、何者にも代えがたい「リフレッシュ」
のひとときなのです。
いつもの楽しい仲間たちの語り会うよりも、この「瞬間」によりやすら
ぎを感じてしまうのです。

束の間の「リフレッシュタイム」を満喫して、仲間たちの所の戻ります。

実恵子さん&雅子さんは、台所を片付けるために下山します。

おっちゃんたち&山本君は、行群を作り、大旗山頂を目指します。

大旗山頂では、清水さんのチェンソーの音が軽快に響きます。
チェンソーの音に呼応して、アオゲラが「ヒョー ヒョー」と叫びます。

篠竹、カラスザンショウ、タラノキ、アカメガシワ・・・・
数年前に「NPOからのふるさとづくり企画提案事業」で切り開いた
部分がパイオニア植物たちで埋め尽くされていたのを、一気に清
水さんのチェンソーが刈りはらっていきます。

みるみる下界がひらけ、オオハクチョウが追われた平池が見えます。
お茶屋御殿山の向こうに、旧打田町の町なみが見えます。
そしてその向こうに、飯森山も見えます。

ここに楠一党が居城した理由がよくわかります。
この見晴らしの良い場所から、まわりの敵軍の様子をうかがいながら
居城していたにちがいありません。

ハシブトガラスに追われて1羽の褐色のタカが飛んでいます。
今日は不覚にも双眼鏡を忘れたので、種の特定ができません。
オオタカかノスリのいずれかだと思いますが、肉眼で識別するには、
距離が遠すぎます。

どんどん眺望が開けていくのを見るのは、ここちよいものです。
数年前の大塔山のように、ブナ林を伐るのは論外ですが、里山
の頂は眺望が開けるのは一興です。

2週間、久々に体を動かしました。

明日からの筋肉痛が少し心配ですが、帰り路の冷気が、とても爽快
でした。
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<鳥類>
カイツブリ、キジバト、カワセミ、アカゲラ、コゲラ、アオゲラ、ビンズイ
ヒヨドリ、モズ、ルリビタキ、ジョウビタキ、シロハラ、ツグミ、ウグイス
エナガ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、アオジ、クロジ
カシラダカ、カワラヒワ、イカル、スズメ、ハシボソガラス、ハシブトガ
ラス
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