農地が消える/1 40年間で2割以上減った (毎日新聞の記事引用)

.農地が消える/1 40年間で2割以上減った

 米や野菜が作られる農地が減っている。農家の経営が成り立たず仕事を続けられなくなったり、若い世代が後を継がなかったり、税金の負担に耐えられず、農地を売り払ってしまったりするケースが相次いでいる。農地が減れば農作物の量も減り、食料自給率の落ち込みが予想される。わたしたちの生活にとって欠かせない農地。消え行く理由について考えてみよう。

 農地は年々減っている。農林水産省(国の役所)が調べたところ、1965年には国内の総面積が600万ヘクタールあったが、85年には538万ヘクタールとなり、2006年には467万ヘクタールにまで落ち込んだ。同じように、農業をなりわいとする農家の数も減っている。65年に566万戸あったが、05年には285万戸と、およそ半分に減ってしまっている。

 ◇農地を売り払う農家が増えている
 もともと農地だった場所が、住宅やリゾート施設、工場を造るために売られている。昔から農業だけに使われてきた土地でも、別の目的で使えるように登録し直すと、農地ではなくなる。

 日本には米を作る「稲作農家」が200万戸以上ある。しかし米の収穫に頼って生活しているのは、そのうち約7万戸のみ。農業による収入だけに頼らずに生活しているため、「農地を売ってもよい」と考える農家が増える傾向にある。

 農作物が栽培されている田や畑を農地といい、この40年間で2割以上減っている。失った広さは全部で134万ヘクタールで、東京ドーム29万個以上の広さだ。田畑と同じように減っているのが農家の数だ。なぜ農地と農家が減っていくのだろう?

 ■農地……「農地法」という法律によって定められ、利用目的が農業に限られている土地。農家と農業生産法人だけが持つことができる。一定の面積以上の場合、都道府県知事の許しをもらわずに売ったり、農業以外の使い方をしたりしてはいけない。だが、農地として市町村に登録していても、実際には耕されず、長い間放置されたままになっている「耕作放棄地」もある。