きららの森の学校 絵画クラス 11月、12月

1,2年生の絵画クラスでは、聖フランシスのお話をしました。『裕福な家庭に生まれながらも、彼は家を離れ長い旅に出ます。貧しい人に持ち物を与え何も無くなったとき、沈み行く夕日の中で歌を歌っている鳥達の言葉が理解できるようになっている自分に気付きます。ある日訪れた村で、獰猛な狼に怯えている人々に出会い、動物の言葉が分かるようになった彼は、武器も持たずにその狼に会いに行きます。牙をむく狼に彼は優しく語りかけます。彼の愛は狼に通じ、その後、狼が村を襲うことはなくなり、村人達と狼の間に平和が訪れます…。』お話では子供たちがまん丸な目でじっと私を見つめながら聞いている姿がとても印象的でした。
 水彩画はお話のシーンを描きます。低学年では物や人物などの外形よりも色の持つ響き(内的な質)を何よりも大切にしています。そのことによって、お話の中の物質的解釈を避けて、より内的な要素を強調します。ここでは攻撃的な狼を赤で、それに対して静かに優しく語りかけるフランシスの姿を淡いローズ色で表現しています。

中・高学年クラスでは、アフリカシリーズも大詰めに入ってきました。ナイル川源流から熱帯雨林に入り、そこから更に下って草原までやって来ました。この間、自然と強制する様々な人々との出会いがありました。今回は更に草原を抜け、サハラ砂漠へと到達します。動物も植物も見られない広大な砂の海に、大きな岩山が浮かんでいます。そこには大昔の人々が描いたとされる動物達の姿が残されています。実は大昔そこは緑で覆われ、生命であふれていた…。今は乾燥した厳しく寂しい砂の海。でもその中をラクダを連れて旅をする人々がいます。彼らは砂漠に眠る宝石のように輝く塩の結晶を求めて、この厳しい自然の中を移動しています。時にやって来る猛烈な砂嵐は、あの激しく照りつける太陽にも砂のカーテンを覆いかぶせます。
 水彩制作では、大自然の地水火風の有機的営みを太い筆で画用紙の上に表現していきます。環境ができたら、今度はそこに暮らす動物や人々を細い筆で慎重に描いていきます。この環境を描くときには、子供達の感覚や感情が大いに関わってきますが、細筆で形を描くときは、子供達の意識、集中力が関わってきます。絵画制作ではこの2つの柱を大切にしています。
12月15日 細井 信宏 (ほそい のぶひろ)