「構想日本」のメルマガに昨年掲載されたものを少し修正しました

高林実結樹 プロフィール
1931年 京都市で生まれる。
1978年 認知症初期の母から「頭がボーっとするから治してほしい」と訴えを受けた。
1993年 認知症からの引戻しに取組んでいた“スリーA増田式認知症予防教室”を知る。
2004年 NPO法人認知症予防ネットを結成、理事長に就任。
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自身の経験
(%エンピツ%) 母がアルツハイマー型認知症になったことが今の活動につながっている。母を在宅で見送ったあと、ボランティアのみによるデイケア活動や在宅支援をしていた頃に、偶然雑誌の「痴呆特集」を見た。
アルツハイマーは治療の方法が無いという論文が多い中、一枚の写真にひきつけられた。軽度の認知症患者を合宿教室で引戻しておられる「スリーA教室」の報告だった。
「あかるく、あたまを使って、あきらめない」とのモットーから「スリーA」と名づけられたその教室では、軽度や進行した患者の方たちが、明るくにこにこと生きかえったように変化して、本人も家族も大喜びをしている。この教室を京都にもほしいと心から願った。

現状の取り組み
(%エンピツ%) 創始者の増田末知子氏から、「教室をつくるのは無理」と言われて、「スリーA教室」の広報係かのように、誰彼なしに認知症の初期対応の重要性を訴えはじめた。
いまでは仲間と共にNPO法人を立ち上げて、「くいとめ・引戻し・予防」に成果の高い“スリーA増田方式認知症予防教室”の普及に、法人活動として取組んでいる。
講演や予防教室、予防ゲームのリーダー養成講座などに、仲間と手分けして出かけるが、何を、どのように行えば成果があがるのか、それが間違いなく伝わるようにと、解説つきの予防ゲームテキストを発刊した。
スリーA教室の真髄は、癒しと脳リハビリである。独特の関わり方と、脳を活性化させるゲームの進め方を、スタッフが体現できなければ単なる遊びになってしまう。
衰えた脳を自ら働かせ、記憶の継続力を回復させ、自信にまでつなげていくには以下のような“どのようにして”という具体的な方法を、スタッフ志望者に伝えねばならない。
・頭を同時に幾通りにも使うゲームの理解、脳の働きを引出す言葉のかけ方。
・ゲームの緩急も、ストップウォッチで計るような絶対的速度ではなく、相対的速度であること。
・テンポアップもなだらかな加速でなく、独特な加速のつけ方。
・リズム感の取り戻しに重要な、ツボを刺激するタッチのコツ。

現場の状況
(%エンピツ%) 地域包括支援センター・施設職員研修会や介護家族の会、デイサービス、ケアハウスの利用者、定年退職者の会、招かれて行く先々でスリーA増田方式の癒しと密着した脳リハゲームを体験してもらう。部屋中に笑い声が響き、「こんなに楽しい教室は初めて」「腹の底から笑った」などと未知の人同士が笑顔を向けあう。
リズム感や数の認識、優しい心までも取り戻すスリーA方式。津々浦々に浸透させたい。