新しい伝統が生まれるザンビア

日 時 平成22年5月14日(金)
場 所 TOYRO倶楽部
講 師 吉田憲司氏(民族博物館教授)
 アフリカの国ザンビアで今新しい伝統が生まれつつあります。
 ザンビアと言えば、ボツワナやジンバブエとの国境に位置する
世界三大瀑布のひとつ「ヴィクトリアの滝」(写真)があることで
有名ですが、日本ではあまり馴染みのない国です。
 ザンビアには73の部族があるそうですが、ここで”伝統を始め
よう”を合言葉に「祭り」の創造がなされているとか。
 たとえば、1980年にそれまで英国の植民地となっていて中断していましたンチュワラ(初穂の祭り)がンゴニ人によって再興されたのをはじめ、1984年にはその祭りを見た隣の部族・チュワ人も自分達の祭りを創ろうと、従来からあった仮面舞踏(葬送の儀礼)と女性の成人儀礼をミックスして、クランバ(収穫祭)を創造しました。
 またこのグランバに招待された隣のンセンガ人の王様が自部族にもとトゥウィンバ(雨乞いの祭り)を1988年に誕生させたそうです。
 このように次々と連鎖して、今では73部族全部に広がっている由です。
 元々銅鉱山があってアフリカでは比較的豊かな国であったザンビアですが、石油ショックやベトナム戦争の終結により銅価格が暴落し、政府は農業政策(開発)を取らざるを得ず、これに付随した「祭り」が起こってきたとも言われています。
 「再興」という名の「創造」がなされたということでしょうか。