人間の思考と表現行動

日 時 平成22年6月11日(金)
場 所 宝塚西公民館
講 師 辻 弘氏(兵庫教育大学名誉教授)
 役に立つか立たないかは別としまして、人が物を造るためには
どのようなプロセスで、どのような環境が影響するか等について
お話しを伺いました。
 人間が物(作品)を創造するには、①イメージの思考、②素材の
調達、③技術の習得が必要です。
 ②の素材につきましては、造ろうとする物にふさわしい材料を探すことで解決しますし、③の技術につきましても先輩や師について訓練を重ねることにより何とかなります。
 厄介なのは①のイメージで、こればかりは探したり練習したからと言って、得られるものではありません。
 氏はイメージの思考のもとは、「その時々の時代」であり、「生活している地域の環境」であり、そして「個人の要素(親・兄弟や年齢、友達や学校さらに宗教等)」であると説明されました。
 かつて日本は、古代においては聖徳太子が遣隋使を中国に派遣してノウハウを持ち帰りさせ、「冠位十二階」や「17条の憲法」等を制定されましたし、明治維新において新政府が岩倉視察団を欧米に派遣してそれらの文化を参考に「五箇条の誓文」や「廃藩置県」等を実施いたしました。
 しかし今や日本は先進国となり先達が居ないわけで、自力で思考しなければなりませんが、そのためにはイメージの湧く人間の養成が急務であり、昨今言われる「ゆとり教育」だけではむつかしいのではないかと危惧されるところです。
 なにしろ、「人間は風土によって造られる。」とも言われますので・・・・・。