昨日ご報告した千町岩塊流の踏査報告、続編です。
岩塊流の下には水が流れており、冷たい岩に冷やされてできた水滴をよりどころにコケが生え、そしてそこに小さな実が落ちてやがて木が生えてきます。
最初に生えてくるのが写真のオオバアサガラ。
やがてほかの木がオオバアサガラにとってかわり、だんだん岩塊流の森が形成されていくのです。
また、尾根筋まで登ると、宍粟市で最大級のイヌシデの木もあります。
その隣にあるのはウリハダカエデ。
旧千種町ではこの木の繊維から笠を作っていたこともあったとか。
でも、こんな一見豊かな森にも静かに危機が忍び寄っています。
それは、(このブログではすっかり悪者扱いになってしまっていますが(%涙%))野生シカによる食害です。
ご多分に漏れず、千町周辺も野生のシカが跋扈しています。
どんどん増えたシカが好みの草を食べてしまう結果、「シカが食べない下草」しか残らないという、極めて深刻な事態が起きているのです。(%ショック男%)
たとえばこれはマツカゼソウ。
葉っぱを千切るとくさい刺激臭がします。
これでは食欲旺盛なシカも食べません。
そしてこれはアセビ。
漢字で「馬酔木」と書きますが、毒があり、馬が葉を食べれば苦しむという所からついた名前であると言われています。
毒があるので、シカは基本的にはこれも食べません。
このほかにも、イヌヒメワラビやガガイモなど、シカが食べない特定の植物が目立つようになってきているのです。
また、この写真の一帯、今でこそ見通しの良い尾根筋ですが、実はほんの10年ほど前までは大人の胸の高さくらいまでササが茂っていたとのことでした。(%とんかち%)
今では高さ10㎝くらいの新芽がちらほら見えるだけ。
この新芽もいずれはシカにむしゃむしゃとやられてしまうのかと思うと、ちょっとフクザツな気持ちになります。
増えすぎたシカ、農作物への被害だけでなく、生態系そのものへの影響も深刻です。