インタプリタ養成講座(平成22年7月10日)

ありもと@孟子です。。 みなさんこんばんは。。。

今日も朝から孟子です。
今朝はわんぱく公園に行き、施錠を開けて、一通りの清掃
をし、8時30分に来るようにお願いしていた職員の偉士大
さんに引継をすませ、そのまま孟子に向かいました。

今日は橋本在住の古い友人の小出哲司夫妻が主催する
森林インタプリタ養成講座の昆虫の講師として招かれ、孟
子の里山の動植物の観察を行うという企画です。

一足先に着いたありもとは、ひととおりのデータを取ります。

ホトトギスとサンショウクイが賑やかに鳴きながら飛び交っ
ています。
最近サンショウクイがあまり下に降りてこなくなりました。
こういう小鳥にも結構出現状況にバイオリスムがあり、見
れない時は全く見れないものなのです。

天堤の奥ではクロツグミが声量豊かな美声で朗々と囀って
います。
今年はクロツグミの当たり年のようです。

とんぼ池では3頭の緑色のヤンマが産卵しています。
2頭は今年個体数の多いアオヤンマ、もう1頭はギンヤン
マです。
狭い入り組んだ谷戸地形の孟子には両種とも少ない種で
す。
それでもギンヤンマは毎年ある程度の個体数の発生が
見られますが、アオヤンマは少なく、昨年数年ぶりに確認
して大喜びをしたものです。

それが今年は、少数ながら飛来して、産卵をしています。
和歌山県下では生息地の極めて極限された種であり、和
歌山県RDB再編のトンボ担当の南敏行先生によると、南
紀では全く確認できない種ということなので、未来遺産に
指定された当地で、なんとか定住してほしいと思っています。

2種の良く似たヤンマの産卵をしばらく観察してみると、両種
の産卵方法に顕著な違いがあるのがわかります。

ギンヤンマはガマに産卵するときはガマの根元に降りて産卵
するのですが、アオヤンマはガマのかなり高い地点に定位し
て産卵しています。
何度かは池とは全く関係のない草地のヒメジョオンの茎の上
の方に産卵していることもありました。

開放水面の多い池に多いギンヤンマは「水の光」を意識して
産卵するものの、抽水植物の繁茂の多い池に産卵するアオ
ヤンマはあまり水の光を意識せずに産卵する習性があるの
かもしれません。

ありもとにとって、アオヤンマの産卵をこれほどじっくり観察し
たのは生まれて初めてのことですが、この美しいヤンマの遺
伝子の置き場の「ヒント」を得たような気がしました。

アオヤンマの2頭のメスが産卵を終えて森に消えたのを見計
らって入口の駐車場に向かいます。
駐車場には久々に出会う小出夫妻が来ていました。

いよいよインタプリタ養成講座の始まりです。

上空をチョウトンボと未成熟のオニヤンマ♂が飛んでいます。
荒糸川では、すっかり成熟した綺麗なハグロトンボ♂が、テリ
トリを張っています。

水田に沿った参道を行くと、オオシオカラトンボ、シオカラトン
ボ、ヤブヤンマ、ウスバキトンボ、ハラビロトンボ・・・
次々とトンボたちが出迎えてくれます。
孟子の谷戸環境はトンボの種類数が多いのが特徴であるこ
とを説明しながら歩きます。

里山の水田地帯には2つのタイプがあります。
橋本市のように紀の川の氾濫原に広がる水田地帯と、孟子
のように貴志川に隣接するものの、貴志川の川床が低く川
の水が活用できないので、溜池をたくさん浚渫してその水で
人為的に氾濫原を創成して稲作を行う水田地帯です。
この2つの水田地帯に生息する動物にはかなり違いがあり
ます。

前者には、今年孟子に良く見られるアオヤンマやギンヤンマ
が本来遺伝子を置き、後者にはマルタンヤンマ、ヤブヤンマ
クロスジギンヤンマ、ネアカヨシヤンマ等が遺伝子を置きます。

今年孟子にアオヤンマが産卵しているのは、ここ数年延命
地蔵から奥に無農薬水田を広げ、谷戸の平地に低茎湿草地
のひろがりができたことに起因するのではないか?と思ってい
ます。

トンボという昆虫は種類が少なく、比較的野外識別が簡単な
昆虫のグループなので、水田まわりの水環境の指標昆虫とし
て利用しやすい昆虫のグループと言えます。

そんなことを説明しながら、谷を奥に進みます。

上空を♀のハチクマが舞っています。
サンコウチョウが「月日星」と歌いながら谷を横切ります。

延命地蔵の荷物置き場の屋根にルリジガバチが群れていま
す。
道すがら、キオビベッコウが飛び交っています。
ベッコウバチはクモを狩る孤独な狩人蜂ですが、この時期な
ぜか群れる習性があります。

延命地蔵付近にリュウノヒゲが満開です。
丸嶋水田のあぜに、見事なオニユリの花が咲いています。
「忘れ草」の異名を持つヤブカンゾウも咲きだしました。
花ももう「夏本番」を示しています。

とんぼ池に到着します。
サラサヤンマが得意のホヴァリングを駆使しながら、草地の
上低くをパトロールしています。

上空高くを羽化したばかりのハネビロエゾトンボが飛んでい
ます。

睡蓮の多い二号池では、褐色の翅をはためかせて、♀のマ
ルタンヤンマが産卵しています。

今日のトンボの出現種数は24種、2010年の通算出現数
は35種になりました。
今年は50種を超えてきそうな予感がします。

今年はヤブヤンマの個体数が多いです。
真昼間だというのに、上空を飛び交っています。
とんぼ好きのありもとにはとても「幸せな年」です。

ウグイスがホトトギスを谷渡鳴きしながら追いかけています。
久々に7月にイカルを見ました。
このあとり科の鳥も、孟子で繁殖していそうです。

今年初めて、ヤマトタマムシを見ます。

インタプリタの方々は孟子の動物の多さに驚いています。
もう12年見つめているありもとでさえ、いまだにこの多さに驚か
されるのですから、初めて孟子に来られる方が驚くのも無理は
ありません。

今日入口の榎さんの家の前の駐車場に「ユネスコ未来遺産」の
看板が立ちましたが、この生き物の多さは「未来遺産」の名に恥
じないものだと思います。

小出さんたちのおかげで、しっかり夏のデータが取れました。
皆さんにお礼を言って別れ15:30
わんぱく公園に向かいました。
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<鳥類>
カイツブリ、ハチクマ、キジバト、アオバト、ホトトギス、カワセミ
コゲラ、アオゲラ、ツバメ、キセキレイ、セグロセキレイ、サンシ
ョウクイ、ヒヨドリ、コサメビタキ、キビタキ、オオルリ、サンコウ
チョウ、クロツグミ、ウグイス、センダイムシクイ、エナガ、ヤマ
ガラ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、カワラヒワ、イカル
スズメ、ハシボソガラス、ハシブトガラス
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<両生爬虫類>
ニホンアマガエル
シュレーゲルアオガエル
ニホンアカガエル、トノサマガエル、ツチガエル、ヌマガエル
ウシガエル
ニホンカナヘビ
ニホントカゲ
ヤマカガシ
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<昆虫類>
キイトトンボ、ベニイトトンボ、クロイトトンボ、モノサシトンボ、オ
オアオイトトンボ、オツネントンボ、ハグロトンボ、コオニヤンマ
ウチワヤンマ、オニヤンマ、サラサヤンマ、アオヤンマ、ヤブヤ
ンマ、マルタンヤンマ、ギンヤンマ、ハネビロエゾトンボ、オオヤ
マトンボ、ハラビロトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、
ショウジョウトンボ、コシアキトンボ、ウスバキトンボ、チョウトン

オオカマキリ幼、ヤブキリ、ヒメギス、ナツノツヅレサセ、マダラ
スズ、トゲヒシバッタ、ヒシバッタ、フキバッタ幼、ツチイナゴ、シ
ョウリョウバッタ幼
スカシヒメヘリカメムシ、ホソハリカメムシ、クモヘリカメムシ、ホ
ソハリカメムシ、シマアメンボ、アメンボ、ヒメアメンボ、ニイニイ
ゼミ、オオヨコバイ、シロオビアワフキ
クロヤマアリ、クマバチ、セイヨウミツバチ、ニホンミツバチ、コ
ガタスズメバチ、オオスズメバチ、セグロアシナガバチ、コアシ
ナガバチ、キアシナガバチ、キオビツチバチ、オオカバフスジド
ロバチ、スズバチ、キオビベッコウ、ベッコウバチ、ルリジガバ

アオメアブ、シオヤアブ、マガリケムシヒキ、ホソヒラタアブ、ホ
シアシナガヤセバエ、アメリカミズアブ
モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、キチョウ、モンキチョウ、
アオスジアゲハ、アゲハ、モンキアゲハ、クロアゲハ、カラスア
ゲハ、ナガサキアゲハ、キアゲハ、ウラギンシジミ、ヤマトシジ
ミ、ルリシジミ、ツバメシジミ、イチモンジセセリ、チャバネセセリ
コチャバネセセリ、イチモンジチョウ、アサマイチモンジ、コミス
ジ、ツマグロヒョウモン、ルリタテハ、アカタテハ、イシガケチョウ
ヒメウラナミジャノメ、クロヒカゲ、クロコノマチョウ、キマダラツ
バメエダシャク、マイマイガ
ナナホシテントウ、キマワリ、ゴマダラカミキリ、ヘリグロリンゴカ
ミキリ、アオハナムグリ、コアオハナムグリ、クロハナムグリ、シ
ロテンハナムグリ、カナブン、アオカナブン、マメコガネ、ヨツボ
シケシキスイ、ヤマトタマムシ
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<花>
ツユクサ、オニユリ、リュウノヒゲ、ヤブカンゾウ、ウバユリ蕾、
ニワゼキチョウ、ヒメヒオウギスイセン、ドクダミ、ハンゲショウ
ヤブマオ、スイバ、ギシギシ、キツネノボタン、イヌガラシ、ユキ
ノシタ、アジサイ、シロツメグサ、カタバミ、ミラサキカタバミ
アカメガシワ、セリ、ミツバ、リョウブ、ネズミモチ、トウバナ、ア
キノタムラソウ、トキワハゼ、ヘクソカズラ、オオバコ、オニタビ
ラコ、セイヨウタンポポ、カンサイタンポポ、ハハコグサ、ハルノ
ノゲシ、ノアザミ、ムラサキニガナ、コマツナギ、ネムノキ
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