文学作品からみる宝塚

日 時 平成22年7月24日(土)
場 所 宝塚東公民館
講 師 槌賀七代氏(大阪学院大学特任講師)
 古代から中世にかけては、宝塚の位置が有馬や出雲へ抜ける
通過点であったため、万葉集をはじめこれといった文学作品に登
場することはごく稀なことでした。
 しかし近代になって、小林一三氏が箕面有馬電気軌道(現阪急
電車)の経営に当たり、その終着駅を宝塚に定め、そこにレジャー
施設と新温泉街を開業してからは徐々に通過点から終着地点になってきました。
 その影響から小説等にもしばしば取上げられるようになり、その一部を紹介しますと、
 ・「ぼんち」(岩野泡鳴):大阪の旦那が温泉・芸者を目当てに・・・
 ・「がしんたれ」(菊田一夫):宝塚歌劇を描写・紹介・・・
 ・「あるぷす大将」(吉川英治):東京人がウワサを聞いて別世界と思い訪れる・・・
 ・「櫻守」(水上 勉):桜博士笹部新太郎をモデルに・・・
 ・「夢の菓子をたべて」(田辺聖子):なぜ歌劇が人々に愛されたのか・・・
 ・「消えた文学の原点」(遠藤周作):開発された美しい住宅地・・・
・・・・等々があります。
 しかし歌劇に代表される夢の街も、今や「非現実の世界」から河川のコンクリート化やマンションの誘致による「日常の世界」に変貌しつつあり、今後この街が文学作品においてどのように取り扱われるのか、ちょっぴり不安な気持ちにもなりました。