都人の憧れの地・須磨

日 時 平成22年8月4日(水)
場 所 池田泉州銀行・講堂
講 師 西海淳二氏(須磨歴史倶楽部)
 現神戸市須磨区は摂津国の一番端に位置し、隣の垂水区に入る
と播磨国になります。
 畿内の「スミ」がなまって「スマ」になったとの説もあるそうです。
 さてこの須磨の地は、平安の昔から古今集等にしばしば登場し、
有名どころでは在原行平の「わくらばに 問ふ人あらば 須磨の
浦に 藻塩たれつつ わぶと答えよ」とか、源兼昌(金葉集)の「淡路島 かよふ千鳥の鳴く声に いく夜寝覚めぬ 須磨の関守」等があります。
 そしてこの地を「月の名所」としてクローズアップさせたのが紫式部の「源氏物語・須磨の巻」で、光源氏が都に残してきた紫の上を偲びながら月見の宴を催すくだりです。
 これの影響からか千載集、玉葉和歌集等に須磨の名月を詠う和歌が散見されます。

そして須磨を歴史的に有名にしたのが源平合戦における源義経
の一の谷の坂落しや、熊谷直実と平敦盛の一騎打ち、さらに生
田の森の副将であった平重衡の生け捕りで、これにより平家に
致命的な打撃を与えたわけです。
 また後年、足利尊氏が弟の直義と衝突した地でもあります。
 このように、須磨は自然と歴史に恵まれた「静」と「動」を合わせ
もつ特異な街と言えましょう。