【作品】散文「星の詩」

6月の作品展「にじたま」に展示した作品

「星の詩」

ここにある、ということをつなぎとめて 絡み合うシナプス
呼吸する星の中にとじこめらて 人の流れは常に倍速で横殴り
うんざりしているはずのに
気づいてみれば規則的な話ばかりしてしまう
ささやかな毎日だと与えられた気分
生み出されては消耗して くりかえしだと勘違い
僕たちの証拠はどこにでもあった

星屑になっていく
必死になってかき集めて ぽろぽろこぼしながら
雨が降り注ぎ 聞こえ始めた終わりの音楽

足元が沈んで落ちていく体 透明な空気は紺碧の深海へ
やがて水圧でつぶされて いれものは消える

目を閉じてみえてくる景色 それがあまりにまぶしすぎる

なんのためなんだろう? たとえば手をつなぐのは
迷子にならないように 風に飛ばされないように
走り出したり 空を飛んだりする自由を奪うために

落下速度は速くなる 金銀にきらめく無数の粒が
目のよこをかすめて 何かをつぶやいていく
手をつなぎそこねて ぬくもりはつたわらず
時間の底にむかって 速度は記憶を振りきっていく
おおきな衝撃が体をつつんで
暖かい肌のうえ 産声をあげる

生きることは また 始まったばかり