さまざまな湿地(平成22年8月23日)

ありもと@孟子です。。 みなさんこんばんは。。。。

朝6:30、孟子不動谷到着です。

クサギの花が満開です。
里山に秋の雰囲気を持ってきてくれるクサギの花は、あ
りもとにとっても大好きな花のひとつです。
紫色の筒状の集合花は、アゲハチョウやスズメガの仲間
を寄せます。

セミの合唱も、ミンミンゼミとツクツクボウシが主流になっ
てきました。
アブラゼミやニイニイゼミ、クマゼミの鳴いていますが、
その声は、耳を澄まさないと聞き取れないレベルになり
ました。

そして、チッチゼミの声も聞き取れるようになりました。

ラニーニャ現象により厳しい残暑は今週いっぱいつづくの
だそうですが、クサギの花とセミの合唱が、秋の雰囲気を
運んできてくれました。

ドヨウフジの花も咲きだしました。
水田にそって設置された「シシ柵」にからまる蔓から、黄
色い房花が下りています。

天堤池に向かいます。
昨年見たのと全く同じ地点で、コルリの幼鳥と出会います。
孟子では毎年8月20日前後に通過が確認されるツグミ類
です。
和泉葛城山で標識調査をしている知り合いも、8月20日が
葛城山でのコルリ通過日とおっしゃるので、この傾向は県
下共通なのかもしれません。

ヒリリ ヒリリ・・・
サンショウクイの幼鳥が鳴きながら上空を通過します。

天堤池の水面を、オオヤマトンボ、ウチワヤンマ、タイワン
ウチワヤンマがマスゲームを演じながら飛び交っています。
その傍らで、カイツブリの親子も憩っています。

堤体の草地では、スズサイコの星型の花が終わりを告げ、
それにかわってツルボとワレモコウが咲きだしました。

久々に水路道を歩きます。
犬飼池のナニワトンボをそろそろモニタリングしておこうと
思います。

じりじりと焼きつくような陽光の中、水路道を歩くと、そここ
こからカトリヤンマが飛びだしてきます。
昭和50年代、ありもとの少年時代は、里山で最も多いヤ
ンマであったこの小型の美しいヤンマは、近年棚田の放置
水田化に伴い減少傾向ににあるのは残念なところです。
孟子ではまだ結構個体数が出るので、安心しています。

ヒメアカネも、マユタテアカネも、リスアカネも赤く色づいて
きました。

ネザサの藪を、コルリの幼鳥が潜っていきます。

エナガの群れに、キビタキの♂とセンダイムシクイが混じっ
ています。

犬飼池に到着しました。
池畔が歩けるほどに干上がっているので、さっそく池畔にお
ります。

あそこに1頭 こちらに2頭・・・
涼しい枝先に青い小さなトンボが止まっています。
ナニワトンボです。
近畿北部特産のトンボで、環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類。
今改訂中の和歌山レッドリストでも準絶滅危惧種として記載
される予定の貴重種です。
孟子では天堤池と犬飼池で発生しているのですが、毎年しっ
かりモニタリングする必要のあるトンボの一種です。

今年は多いようです。
池畔を少し歩いただけで、4頭の♂を確認しました。

ナニワトンボのモニタリングを終えて、再びきみひろ池に戻り
、池畔のアカメガシワで小鳥を観察します。

メジロの夫婦に続いて、ゴマシオ頭のキビタキの幼鳥がやっ
て来ました。
キビタキもかなり長い期間繁殖するようで、殆ど第一回冬羽
に換羽した個体から、今日の個体のように、まだ殆ど新鮮な
幼鳥羽の個体まで、さまざまです。
こういう羽衣の個体は、この時期でないと観察できないので、
撮影にも力が入ります。
今年&来年の日本ユネスコ・未来遺産プロジェクトの調査対
象種でもあるので、できる限りさまざまな羽衣の個体を撮影
しておきたいと思います。

しばらくするとエナガの群れがやってきます。
その中にサンコウチョウの幼鳥が混じっています。
♀に似ていますが、嘴が黒いことで区別がつきます。
サンコウチョウはかささぎひたき科で、ひたき類なのですが、
エナガの群れに交じるようになった最初の頃でもあのひたき
類独特の「トラ模様」のある個体に出会ったことがありません。
ほかのヒタキ類よりも第一回冬羽への換羽が早いのか?そ
れとも幼羽にもあの「トラ模様」が無いのか??
そのあたりが今後の観察の課題です。

10:30
孟子不動谷を後にします。
一路、和歌川干潟に向かいます。

今わんぱく公園では、ハヤブサの写真展をしているのですが、
10月から写真展の内容を和歌川干潟に変えようと思い今、
撮影をしているところです。
今日も14時には公園の海南高校の生徒がやってくるので、
それまでの間、和歌川干潟で観察をしようと思います。

和歌川河口干潟は近畿最大級の干潟として有名です。
孟子は水田という人工の淡水の湿地の環境ですが、和歌川
は海水の湿地というわけです。

片男波海岸で、若いクロサギに出会います。
白浜町円月島等の離島で少数が繁殖する和歌山県レッドリ
スト指定種です。
和歌川で観察できるのは珍しいので、しばらく観察します。
波間を歩きまわりながら、小魚を捕えては食べています。
よく外国の記録映画を見ると、翼をかざして影を作り、そこに
魚を追い込んで食べるクロサギが出てきますが、あれは日本
のと別種の鳥です。
日本にいる種のクロサギは、翼をかざすことはありません。

今日はシギの数が少ないです。
キアシシギを2羽確認しただけにとどまりました。

観海閣に行くと、先客がいます。
和歌山大学教育学部の古賀庸憲教授たちです。
大学院生の授業だそうで、干潟に降りてハクセンシオマネキの
ウェーヴィングや、ウミニナやホソウミニナ等の貝類を観察して
います。

ありもとはヨシ原の周辺で石ころを裏返します。
真っ黒いヘドロの中に埋まった石を裏返します。
ありもとが歩くと、行く手に夥しい数で出てウェーヴィングをして
いる、ハクセンシオマネキやチゴガニが、どんどんと穴の中に消
えて行きます。

何枚かの石を裏返したところで「お目当て」を発見します。

ワカウラツボです。

和歌浦で初めて発見されたという微小貝で、和歌山県レッドリス
ト絶滅危惧ⅠA類の希少種です。
和歌山県立自然博物館の吉田誠副館長に探し方を教えてもら
って試行してみましたが、なんとか3個のワカウラツボを確認す
ることができました。

レンガ色の個体と、白の個体が混じっています。
吉田副館長によると、ここの個体は白い個体が圧倒的の多い
そうです。

殻長数ミリの微小な貝ですが、どことなく風格を感じさせる姿に
感動しました。

お目当てを確認し終え、ほっとして目をあげると、目の前でキア
シシギが、チゴガニを咥えていました。
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<鳥類>
カイツブリ、アオサギ、キジバト、コゲラ、アオゲラ、ツバメ、キセ
キレイ、サンショウクイ、ヒヨドリ、キビタキ、コルリ、サンコウチョ
ウ、ウグイス、センダイムシクイ、エナガ、ヤマガラ、シジュウカラ
メジロ、ホオジロ、スズメ、ハシボソガラス、ハシブトガラス
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<トンボ類>
キイトトンボ、ベニイトトンボ、クロイトトンボ、モノサシトンボ、ハ
グロトンボ、ウチワヤンマ、タイワンウチワヤンマ、オニヤンマ
カトリヤンマ、ヤブヤンマ、ギンヤンマ、ハネビロエゾトンボ、オ
オヤマトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ショウジョウ
トンボ、マユタテアカネ、ヒメアカネ、リスアカネ、ナニワトンボ
コシアキトンボ、ウスバキトンボ
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