〜生活保護学習会に参加して思った事〜

発達障害者は、日常を生きる上で日々高いハードルを提示されている。
 例えばそれは、「柔軟かつ即興的に、周囲の人やモノと衝動的にくっついてあっさりと離れることを繰り返す」ようなハードルである。ただでさえ「集団生活における周囲との関わり方」がわからない自分達には、自活するという目的を一人で達成するのは困難である。
その為には、自分達の特性を理解してくれる人が必ず必要だ。
 発達障害当事者の綾屋沙月さんによると、発達障害者は身体内外からの刺激や情報を細かく大量に拾いすぎてしまうため、意味や行動のまとめあげがゆっくりであり、
それがゆえに生きづらさを抱えている。働く事が困難になり生活保護制度を利用するようになった時も、
理解者がいないと、なかなか社会が望むような「自立」は出来ない。だから個人の特性に合わせた生活の支援と理解者の存在は不可欠だと思う。
 1月17日、宝塚市役所生活援護課の岡田様をお呼びして、生活保護制度の仕組みと利用者の現状に
ついてお話をして頂いた。平成14年から平成23年までの間で、被保護世帯の中で障害者世帯は3倍近く、傷病者世帯は2倍近い数に増えている。就労支援については健康で働ける意欲がある人には、側面からのバックアップはするとお話をされた。そうでない方、例えば精神疾患の方(鬱病、パニック障害、適応障害)は治療に時間がかかる事を前提にしっかり病気を治して頂き、それから仕事をしてもらい自身にも努力してもらって自立に向けて支援していくそうである。(ちなみに言えば、申請の際病院からの診断書が無くても
ケースワーカーが訪問して病状を聞くので大丈夫だそうである)
 もちろん、保護を受ける為の諸条件はあって、扶養義務者はいるのか?(親がいれば援助出来ない理由を聞かれる事になる)、一つの屋根で一緒に生活している者はいるのか?(世帯単位の原則)は調べられる。また、住宅扶助にも世帯を構成する人数によって上限額があり、その金額を上回る賃貸物件に住んでいる人はその上回った分持ち出しになり、それが無理な場合引っ越しを余儀なくされるし、家や土地を持っている人は果たしてそれを持って住み続ける事が本人の自立に繋がるのか?という事は見られることとなる。(生活に困った時に家や土地を担保にお金借り、かつそこに住み続ける事は可能。被相続人の同意は必要だが) 非常に複雑な部分も確かにあるが、社会のセーフティネットである生活保護制度に関して今迄皆が無知だった知識を手に入れた事は、今後に有効となるのではないかと思った。
 発達障害者は、社会の中にあるスキマにこぼれ落ちた人達である。生まれた時から落ちこぼれているような気持ちになってしまう事も多いだろう。そのような劣等感を理解してもらい、進むべき先を教えてくれる、
そんな支援を行政にはしてほしい、そう自分は希望する。