『文化遺産を活かしたまちづくり』

(%紫点%) 後期講座(H22年9月〜H23年1月:全14回講義)の第13回の講義報告です。
・日時:1月18日(火)am10時〜12時
・場所:すばるホール(3階会議室) (富田林市)
・演題: 『文化遺産を活かしたまちづくり』
・講師: 笠井 敏光先生(文化プロデューサー・大東市総合文化センター館長)
[講師略歴]
1956年大阪市生まれ。大阪大学大学院言語文化研究科博士課程単位習得。
大阪府羽曳野市で文化財行政、生涯学習、文化施設を担当。
羽曳野市立生活文化情報センター館長を最後に退職。
大東市立生涯学習センター館長を経て、2008年から大東市総合文化センター館長。
【笠井先生は、フリーの文化プロデューサーとして、「文化を活かしたまちづくり」に活躍されています。関わった地域は、大阪市大東市、滋賀県東近江市、長野県妻籠宿などです。】

*笠井講師の講義は、主に「考古学」ですが、今日は、「文化プロデューサー」として活躍されている分野についてお願いしました。
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(%エンピツ%) 講義の内容
1.文化とは?
・CULTURE=文化活動(人間の営みの全て)
・文化と文明(物質的なものと精神的なもの)
・”地域の宝もの”

2.文化財保護の目的
・文化財保護法…1949年法隆寺金堂の火災により、法隆寺金堂壁画が焼損した。これをきっかけに、文化財の保護について総合的な法律として制定。
・第1条(この法律の目的)
「この法律は、文化財を保有し、且つ、その活用を図り、もって国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。」

3.再生と活用
・意識と精神を具現化したもの
・国民の文化的向上=人の育成
・文化的価値と意味・関係性

4.文化・文化資源・文化遺産・文化財・埋蔵文化財
・文化資本を活かして、さらに価値を高め、将来に継承する
・価値を見出す作業が学習であり、その行動がまちづくりに
・《市民の主体的な学習=生涯学習=文化活動》を支援する

・「文化遺産は、将来のために大切に保存すべきであるといわれているが、過去の人々による文化行為によって生まれた文化遺産は、将来に引き継ぐだけのものとして、現在に存在しているものではない。現在に生きている人が、その存在価値を認め、その素材を保存しながら利用し行動することによって新しい文化を付加すること、言い換えれば文化遺産からその価値を見出す作業こそが学習であり、その学びから行動することが新しい文化の創造であり、まちづくりといえる」(笠井講師のホームページより)

5.今後のあり方
・死んだ遺跡と生きた文化財
・生活・生業との共生
・総合的な保護
*地域の文化遺産を総合的に保存・再生・活用し、文化や歴史が見える心地良いまちをつくる

6.文化遺産を活かしたまちづくり(→ ”市民がいかにやるか”
①主体性…住民主体・目標・計画・実践
②個性…歴史文化性・真正性・オリジナル・時代性
③自立性…中央や上位機関に依存しない(行政と敵対はしないが、行政に依存しない)
④持続性…長いこと続けていく。若い人にバトンタッチ
⑤地域性…地域コミュニティ・共同体

7.ビデオを観る
・「文化遺産を活かしたまちづくり」の事例紹介
『木曽妻籠宿』(きそ つまごじゅく)(ビデオ放映・約40分)…《NHKテレビ「新日本紀行」(昭和44年(1969年))、「新日本紀行ふたたび」(2007年)》
・保存運動を迷惑と考えていた昭和40年代に、木曽妻籠宿での街並み保存活動 → 全国から注目
・住民の団結(きずな)「妻籠を守る会」(街並みを守るために、家や土地を「売らない、貸さない、壊さない」という3原則など。)
・”継続する”、“住民意識をいかに高めるか”…保存活動のキーポイント。
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*笠井先生は、最初は手弁当で、”妻籠宿”の街並み保存を支援されました。その活動について、NHKテレビ「新日本紀行」の中でも取り上げられています。
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(%赤点%) 「新年会」の報告
・日時:1月18日(火)昼12時20分から約1時間半
・会場:すばるホール(アルデバラン・3階)
・参加者:32名(女性10名、男性22名)
*講義終了後に、立食パーティ形式の「新年会」を行いました。
*笠井敏光先生の挨拶、西村健さんの乾杯の音頭のあと、食事をしながら歓談。そして、西賀茂さん・小宮山清光さんの司会で、参加者から自己紹介や講座についての一言もあり、にぎやかで楽しいひとときでした。