理科なんて大嫌い

長いことフリースクールをやっているが、不登校の女子中学生で、「理科が好き」っていう女の子にであったことがない。ボクは塾で理科を教えていた経験があるから、たまに「理科やろうか?」と女の子にたずねても、いい返事が返ってきたことがない。
 しかし、去年から授業(参加は自由)の時間をふやし、理科の授業をスタートさせることにした。県立高校の非常勤講師をしている理科の先生と相談して、女の子たちが「あっと驚くような学校にはない理科の授業をやってください。」と彼に全権を託した。若い先生だけにおしゃべりの時には近づいてくるが、いざ授業となると、ひとり抜け、2人抜け、半分くらいになって、若い教師はとまどう。すこしがっかりしているのを見た生徒がもどってきたりする。出席自由な授業というのは、教師が試される。授業の最後に教師たちは生徒に質問する。「どうでしたか、今日の授業は?」と。すかさず元気な女子が答える。「眠かった。」失礼な赤裸々な返答に教師は落ち込む。反省もする。そして教師は鍛えられ、生徒の心をつかむ努力を真剣にはじめる。フリースクールでは、教師も成長する。

 いま学校では、生徒が強制的に着席させられるから、やむおえずあくびをこらえて、席についているが、中学生たちが教師を選べる時代がきたら、教師たちはその残酷な生徒の選択に耐えられるのだろうか?